【バンガロール】インドの鉄鋼メーカーは、原料供給の逼迫を懸念し政府に輸出規制を訴える一方、余剰鉄鉱石を国内市場で売却している。
ビジネス・スタンダードが6月11日伝えたところによると、国営Steel Authority of India Ltd(SAIL)は、今年4月、子会社Visvesvaraya Iron & Steel Ltd(VISL)のカルナタカ州工場における2万5000トンの余剰高品質粉鉱石(iron ore fines)の入札を募集した。民間のTata Metaliksも同月入札を募集し、公開市場で1万トンの粉鉱石を処分した。
インド鉱業連盟(FIMI:Federation of Indian Mineral Industries)のR K Sharma事務局長(SG)は、鉄鋼メーカーのこうした行為はその主張と矛盾していると厳しく非難した。同氏によると、他の鉄鋼メーカーも国内市場で余剰鉄鉱石を処分し、間接的に鉄鉱石の輸出に寄与している。ジャールカンド州政府も鉄鋼メーカーのこうした行為を非難している。鉄鋼メーカーはそれ自身が保持する鉄鉱石の余剰を使い尽くすまで、鉄鉱石の輸出禁止を要求する資格(locus standi)がない。FIMIは以上の訴え中央政府に送付したと言う。
一部の鉄鋼メーカーが余剰鉄鉱石を抱えていることは、様々な政府の記録によっても裏付けられている。会計監査総監(CAG:Comptroller and Auditor General)は、大量の粉鉱石を抱え損失を出したSAILを処罰した。CAGによると、SAILが経営するGua鉱山は2000-01年から2004-05年の間に毎年平均178万トンの粉鉱石を生産したが、同期間の年間出荷量は71万トン(全体の40%)にとどまった。このため毎年107万トンの在庫が上積みされ、滞貨は3504万トンに達した。
昨年インドは1億6000万トンの鉄鉱石を生産、9000万トンを輸出した。輸出された9000万トンの74%は粉鉱石で、国内には買い手が存在しない。このためFIMIは、インドは内需と輸出需要を満たす十分な鉄鉱石資源を保持していると主張しているが、鉄鋼業界の圧力を受けた政府は鉄鉱石輸出にトン当たり300ルピーの輸出税を課した。