【ニューデリー】鉄鉱石の輸出にトン当たり300ルピー(US$6)の税が課され、インド産鉄鉱石の国際競争力が減退したことから、民間の鉄鉱石採掘業者は、新年度がスタートする4月1日以降の輸出注文を獲得するための活動を停止、観望姿勢をとっている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが3月12日報じたところによると、インド鉱業連盟(FIMI:Federation of Indian Mineral Industries)のRahul Baldota副会頭は同紙に以上の消息を語った。それによると、インド産鉄鉱石の主要バイヤーの中国の業者は輸出税に伴うコスト増を負担する考えはない。こうした状況では粉鉱石(iron ore fines)の輸出は望めず、地元鉄鉱業界は打撃を受ける。同業界は手持ちの輸出契約に基づき出荷を続けているが、新規契約を獲得する活動は停止している。
昨年、インドは1億5500万トンの塊鉱(Lump)と粉鉱石を生産、うち5200万トンを国内鉄鋼業が消費、8900万トンを輸出した。残りの1400万トンは未使用となっている。
やはりFIMIの副会頭を務めるSiddharth Rungta氏によると、国営Steel Authority of India Limited(SAIL)やTata Steelなど国内の製鋼大手は自社鉱山をもち、地元のそれ以外の主要鉄鋼会社、Ispat、Essar、Jindal South West等は粉鉱石を使わない。その結果、インドの鉄鉱石輸出は粉鉱石が84%を占め、塊鉱はわずか16%に過ぎない。焼結炉を用いる中国の製鋼会社がインド産粉鉱石を専ら利用している。この他、国内では二次製鋼業界が粉鉱石を用いている。大手製鋼会社は自前の鉱山を保有するか、国営National Mineral Development Corporationと鉄鉱石の長期購買契約を結んでいる。
Baldota氏は、鉱業生産を積極的に拡大しているオーストラリアとブラジルにシェアを奪われることに懸念を表明した。
Baldota/Rungta両副会頭は、Hoda Committeeが高品質な塊鉱(鉄分65%以上)のみに輸出税を課すよう提案したにも関わらず、政府がすべての鉄鉱石に輸出税を課したことに疑問を表明した。それによると、仮に鉄鉱石輸出9000万トンの半分を失っただけでも、Indian Railways(IR)は3600クロー(トン当たり800ルピー×4500万トン)の運賃収入を、港湾は900クロー(トン当たり200ルピー×4500万トン)の荷役収入を失い、結局政府の歳入は減少せざるを得ないと言う。