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2007-03-05 ArtNo.39155
◆ソフトウェア業界、新年度予算に失望
【ニューデリー】コンピュータソフトウェアの業界団体、ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)のB. Ramalinga Raju会長は「優遇税制が事実上廃止されることを意味する最低選択税(MAT:minimum alternative tax)の導入、従業員持ち株計画(ESOP: Employees Stock Option Plan)に対する役得税(Fringe Benefits Tax)の適用、配当税の引き上げ、賃貸に対するサービス税の適応は業界に好ましくない影響を与える」とし、新年度予算に失望の意を表明した。同氏はこれらの問題を蔵相に陳情するとしている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが3月1日報じたところによると、Satyam Computer Services Ltd会長も務めるRaju氏は「ESOPに対する役得税の適用でオプション行使時に税金を支払わなければならなくなる。これでは人材確保を図る企業の努力を無駄にし、従業員の消耗率を高める」と批判した。
金融サービス産業にITソリューションを提供しているi-flex Solutions LtdのDeepak Ghaisas氏は「ESOPへの役得税の課税は予想外のこと。ストックオプションを人材確保の主要手段にしているIT業界は立つ瀬がない」と嘆息、ITソリューション企業Mastek LtdのAshank Desai会長も「世界水準の人材の確保に努めている知識集約企業に新たな難題をもたらした」と不満を述べた。
ムンバイの法律事務所Majmudar & Coのマネージング・パートナーAkil Hirani氏は「これは明らかな後退だ。基本的にストックオプションは従業員に利益を与えてつなぎとめるための手段だが、役得税をどう組み立てるかで、従業員に一層負担がかかる恐れがある。いずれにしても従業員はオプション行使後にキャピタルゲイン税を支払う。従業員にとってストックオプションは臨時収入、という所得税法の本来の趣旨を政府は破ろうとしている」と指摘した。
金融業や製造業など幅広い業種にITソリューションを提供している3i Infotechの最高財務責任者(CFO)Amar Chintopanth氏は「ESOPへの役得税の適用はわれわれに影響するかもしれない。正確な税率を知るまでは影響の程度は分からないが、役得税は従業員がオプションを行使した年だけに支払うのであって、オプションを付与された時ではない。また適正市場価格の計算法も詳細に示されていない」と当惑気味だ。
役得税に対する不満の声はIT業界だけでなく、 ESOP導入に乗り出したオールドエコノミー(従来型産業)からも上がっている。
しかし調査会社Gartnerは、「最低選択税や役得税は急成長し成熟しつつあるIT業界にとって一時的な問題にすぎない」と楽観的だ。
最低選択税についてNASSCOMのRaju会長は「大蔵省のやり方は10年ごとに制度の見直しを行うというSoftware Technology Parks of India(STPI)のサンセット条項の精神に反する」としている。同氏は、最低選択税は特に中小企業のやる気をそぎ、将来的に財務を狂わせる恐れがあると指摘する。STPI規則は2009年に見直しが行われるが、最低選択税の導入がSTPI優遇措置の10年延長の前触れであるかどうかは不明だ。
Nasscomの声明は「最低選択税は2009年まで税制優遇を与えるという政府の約束を反古にするもので、退歩である。企業はこの約束に基づいて事業計画を立て投資決定を行っている。したがって投資家の自信にも影響する」と述べるとともに、「最低選択税の導入はSTPI制度の10年間延長を伴うものと信じる」と付言している。
賃貸に対するサービス税の適応についてもRaju氏は、IT業界はオフィス・住居スペースの賃借に依存しており、企業経費が増えるだけと批判した。
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