SEAnews 2007-03-05 ArtNo.39149

【ニューデリー】新年度予算案が鉄鉱石に輸出税を課したことは、輸出規制を長期にわたって主張して来た製鉄業者の主要な得点と言える。
インディアン・エクスプレスが3月1日報じたところによると、国内に流通する鉄鉱石の量が増加し地元鉄鋼業界が恩恵を享受するだけでなく、政府の税収も増加する。インドは年間約7000万トンの鉄鉱石を輸出している。
国際会計事務所KPMGのパートナー、Yezdi Nagaporewala氏は「鉱石に輸出税を課すことは、国内における製造と付加価値生産を奨励するものだ」と指摘、国営Steel Authority of India Ltd(SAIL)のSK Roongta会長は「政府は鉱物資源保護の必要性、取り分け鉄鉱石の付加価値生産に対する適切な配慮を示した。鉄鉱石と精鉱に対する輸出税の導入はタイムリーと言える」とコメントした。Tata SteelのB Muthuraman重役(MD)も輸出税の徴収を歓迎するとともに「輸出ボリュームの規制も検討できたはず」と指摘した。
しかしインド鉱業連盟(FIMI:Federation of Indian Mineral Industries)のR.K. Sharma事務局長は「鉱業部門のマージンに対する圧力が増し、小規模鉱山は閉鎖を強いられる恐れがある。大手企業も長期的に影響を受けるだろう」と、輸出税導入の影響に懸念を表明した。
Uttam Galva Steels Ltd(UGSL)のAnkit Miglani取締役は「農村経済を振興する農業部門に対する予算の拡大は農民の購買力を高め、農機／自動車／シロモノの需要を創出する。こうした業界は何れもスチールを主要原料としているため、鉄鋼産業はその恩恵も享受できる」と語った。
Vedanta ResourcesのAnil Agarwal会長は、インフラ開発重視の政策が継続して採用されるなら全ての金属に対する長期的な強い需要が創出される」と指摘した。
しかしIspat IndustriesのVinod Mittal重役(MD)は「二等級や欠陥スチール製品の輸入税率を20％から10％に引き下げたことにより、低品質で環境汚染の恐れすらある鉄鋼製品のダンピング場にされる恐れがある」と警鐘した。インド鉄鋼連盟(ISA:Indian Steel Alliance)のMoosa Raza会頭も「食品包装材料に低品質な材料を使用することを奨励するに等しい」と同感の意を表明した。