【ニューデリー】インド政府は5000億米ドル規模のバランスシートをもつ巨大金融持株会社を少なくとも1社つくり、資金を渇望する国内大企業に幅広い金融支援を提供する計画だ。
インディアン・エクスプレスが2月5日、政府筋の話として報じたところによると、この持株会社は会社法にのみ従い、金融監督機関の管轄外に置かれる。しかし傘下の金融子会社は従来どおり中央銀行(RBI:Reserve Bank of India)、インド証券取引局(SEBI:Exchange Board of India)、保険業監督開発局(IRDA:Insurance Regulatory Development Authority)などの監督を受ける。
持株会社のバランスシート5000億米ドルは、インド最大の国営商業銀行State Bank of India(SBI)の1560億米ドルを大きく上回る。ちなみにSBIはアジアで70位、世界では100位に届かず、世界5大銀行の一つ、米Citigroupのそれは1兆4600億米ドル(2005年)。
この計画は、手をつけにくい政府系銀行の合併と、銀行、投資銀行、証券など金融関連企業の合併を規制する指針の改正を回避する形で実施される。政府筋によると、計画はTata Steelによる欧州の鉄鋼会社Corus Groupの買収とは無関係で、政府上層部が時間をかけて議論して来たもの。また、ムンバイに国際金融センターを創設すべきだとするPercy Mistry委員会の勧告に基づいている。
Tata SteelのCorus買収において、インド第1位のSBIと、同第2位の民間商業銀行ICICI Bankが果たした役割は小さかった。バランスシートの規模の小ささが弱みとなり、企業のために競争レートで資金を調達できない。Tata SteelはDeutsche Bank、ABN Amro Bank、Credit Suisse Groupなど世界有数の銀行の支援を受け、Corusの買収を成功させた。