【ニューデリー】インド最大のソフトウエア輸出会社Tata Consultancy Services(TCS)は2010年までに総売上げの10%以上を電子政府事業から得る計画で、また2010年までに年商100億米ドルの達成を目標にしている。したがって電子政府事業だけで10億米ドルの売り上げを目指している。
エコノミック・タイムズが1月27日報じたところによると、TCSのTanmoy Chakrabarty副社長(Global Government Industry Group担当)は「2009-2010年度までに総売上げに対する電子政府事業の寄与率を少なくとも10%にしたい」と語った。
TCSの昨年度電子政府事業収益は2億米ドルに達しなかった。推計によると、電子政府の世界市場規模は1800億米ドルを超えるが、インド企業のシェアは現在1%に満たない。
TCSによると、同社は60億米ドル規模の国内電子政府市場の最大シェアを握っている。TCSは昨年、企業省から委託された電子政府プロジェクト『MCA 21』を実施した。
電子政府の分野ではIBM、Oracle、Microsoftなどの多国籍企業の他、政府系の先端的電算技術開発センター(C-DAC:Centre for Development of Advanced Computing)や全国情報科学センター(NIC:National Informatics Centre)、地元IT企業のWipro Infotech、Satyamなどが主要プレーヤーになっている。
通信情報技術省は、今後5年間に2万3000クロー(US$51.75億)を投じて電子政府化を進める全国電子政府計画(NeGP:National e-Governance Plan)を発表、26分野の『Mission Mode Project(MMP)』を通じ具体化を図る方針だ。
ソフトウエアのほか、TCSは政府各部門の公共サービスに適用する品質規格『IS15700:2005』のフレームワーク『Sevottam』の実施面で、インド標準局(BIS:Bureau of Indian Standards)と提携している。『Sevottam』は現在、郵政局、中央税務局、人材開発省、食品加工産業省などで実施されている。
電子政府の全国規模での実現にはまだ問題が残されており、某電子政府専門家は「好調なスタートを切った多数のプロジェクトが停頓している」と述べ、その例として『マドヤプラデシュ・オンライン』、『バンガロール・ワン』、Dhar地区(Malwa高原、Vindhyachal、Narmada渓谷)の『Gyandoot』、ヒマチャルプラデシュ州とチャッティースガル州の『ITキオスク』プロジェクトを挙げた。
Wipro InfotechのVishwanathan上級副社長は「ソリューションは容易に複製できるのに、州ごとに異なったソリューションが要求される」と語る。また、TCSのChakrabarty副社長は「政府担当者の異動も頭が痛い。やる気のある官僚の異動で意気込みと同時に重要プロジェクトの知識も失われる」と不満を述べた。