【ムンバイ】日本の主要製薬会社は、臨床データ管理/統計分析/医療文書の作成等のサービスをインドでアウトソースするため、地元最大の情報技術(IT)企業Tata Consultancy Services (TCS)と交渉を進めている。
インディアン・エクスプレスが12月9日、消息筋の言として伝えたところによると、取引額は数百万米ドル、契約期間は数年に及ぶものと見られる。TCSのJ Rajagopal上級副社長(生命科学保健担当)は「欧米企業に続き今や日本企業がインドでアウトソーシングの機会を探る時が来た」と述べ、以上の消息を確認した。しかし詳細を明らかにすることは控えた。インドにBPO(business process outsourcing)企業は数多く存在するが、生命科学領域のBPOを手掛ける大手企業は少ない。TCSは最近、Eli Lillyと、臨床データ管理/統計分析/医療文書を含む幅広いサービス契約を結んだ。TCS以外では、AccentureがWyethと臨床データ管理契約を、Cognizant Technology SolutionsがPfizerと臨床データ管理/計量生物学サービス契約を、それぞれ結んでいる。この他、Novartisはマハラシュトラ州MumbaiにNovartis International Clinical Development Center India (NICCI)を設置し、臨床データの統計分析を手掛けている。
TCSは1987年に設けた日本オフィスに350人のスタッフを配し、70社以上の在日本顧客に奉仕している。TCSは、薬理学者/内科医/医用生体技術者/バイオ統計学者を含む3000人近い専門職スタッフを擁する。
TCSのRajagopal氏によると、人口統計学とインド企業の能力が、日本企業のアウトソーシング戦略を左右する重要な要因になるものと見られる。人口の高齢化が進む日本は、若年層の比率が高く、プロジェクト・マネージメント能力を備えた多数の企業が存在するインドのような国からアウトソーシングを行うものと見られると言う。ちなみに世界の製薬業関連BPO市場は6億米ドルと見積もられている。