【ニューデリー】電信局(DOT:department of telecom)は先週、GSM/CDMA携帯電話サービス業者向け波長域(spectrum)の追加割当に関する新規則を発表したものの、携帯電話業界にとって不可欠で、しかも限られた資源の波長域割当に関する政策が今月中に施行される可能性は極めて薄い。そのことは軍事用波長域を確保するために組織された閣僚グループ(GOM:group of ministers)の最初の会議がまだ開かれていないことからも窺える。
インディアン・エクスプレスが4月3日報じたところによると、Manmohan Singh首相により組織されたGOMは、携帯電話波長域の割当問題の他、軍用波長域を確保する方法を研究する任を委ねられており、Pranab Mukherjee国防相が座長を務めている。
DOTオフィシャルによると、GOMは、軍事用波長域を他から隔離する方策、他の波長域へのシフトのロードマップ、この種の処置に伴うコストと言った最も困難で、重要な問題に照準を合わせるべきで、割当基準の細目に関与すべきではないと言う。波長域の既存の主要ユーザーに数えられる国営電話会社Bharat Sanchar Nigam Ltd(BSNL)は、波長域を開放しつつあるが、同オフィシャルによると、開放に保守的な国防省は同問題を戦略的な切り札にするものと見られる。GOMの会議を繰り延べ、成り行きに任せる姿勢は、問題を一層深刻化させる恐れがある。Dayandhi Maran通信相は、「第3世代(3G)携帯電話サービスを含む波長域政策(spectrum policy)は4月までに施行する」と述べ、シン首相も先月、「近く波長域の追加を行う」と語ったが、今年半ば(6-7月)までに波長域の追加割当を行う目標は、最高首脳の思い切った介入がなされぬ限り、画餅に終わる可能性が大きいと言う。
問題になっている波長域は『IMT-2000(international mobile telephony)』に基づくもので、同規格は『2002年全国波長域割当計画(national frequency allocation plan 2002)』にも盛り込まれている。2110-2170と対になった1920-1980波長域は、ビデオ・ストリーミングや、音楽のダウンロード、高速インターネット、広帯域通信等、携帯電話を通じた音声・画像・データ・サービスを実現する第3世代(3G)携帯電話サービスに欠かせない。1920-1980波長域は目下BSNLが使用しているが、同社は光ファイバー・ケーブルへの転換を通じて同波長域を開放しつつある。波長域の開放に関する協定が調印されて初めて、他の波長域への移行のボリュームやコストが算定できるが、同協定はGOMが如何なる方針を決めるかにかかっていると言う。