【ムンバイ】今会計年度の鉄鉱石輸出は、主要輸入国の中国が上限価格を設け、規制を敷いたにも関わらず堅調を維持するものと見られる。
インディアン・エクスプレスが3月9日報じたところによると、インド鉱業連盟(FIMI:Federation of the Indian Mineral Industries)のDK Sahni会頭は8日、ロイター通信に以上の見通しを語った。それによると、今会計年度(2006年3月期)の輸出は8000万トン前後に達するものと見られ、昨年実績を下回るとは思えない。また2006-07年には1億トンに達するものと予想される。
インドは昨年7600万トンの鉄鉱石を輸出、世界輸出全体(6.05億トン)の8分の1を占めた。内6800万トンを中国に輸出、対中鉄鉱石輸出ではオーストラリアの1億1200万トンに続き2位につけた。
中国は2006年度長期契約の締結を前に上限価格を設け、価格の抑制を図っているが、鉄鉱石価格は10%ほど上昇するものと見られる。オーストラリア産鉄鉱石の上限価格はトン当たり54米ドル、ブラジル産は同70米ドルと、ほぼ2005年長期契約価格(FOB)のレベルに抑えられている。北京当局は同上限を超える価格では輸入を許可しない政策を採用しており、同政策は2006年度長期契約交渉が完了するまで維持されるものと見られる。
中国のバイヤーはインド産鉄鉱石についてはトン当たり58米ドル前後で購入することを希望、長期契約の締結を求めているが、今のところ応じるものはない。
インド側はオーストラリアの65%グレード鉄鉱石と同水準の価格を希望している。インドは240億トンの鉄鉱資源を有し、その大部分が65%の鉄分を含有している。これに対してブラジル産の鉄分含有率は約66%となっている。
地元鉄鋼会社は鉄鉱石の供給に不安を抱いており、インド政府は鉄鉱輸出政策に見直しを加えている。このため1億トンの輸出上限が設けられる可能性が予想される。ヒンドスタン・タイムズは、新規鉄鋼プロジェクトに伴う需要急増から鉄鉱石の輸出が大幅に削減される可能性を予想しているが、業界筋は「大部分の新鉄鋼プラントはまだ完成しておらず、直ちに国内の需給バランスに大きな変化が生じる恐れはない」と見ている。