SEAnews 1995-10-31 ArtNo.3728

【シンガポール】マルチメディアやインターネット・ユーザーの貪欲な記憶容量需要に応じるため、ヒューレット・パッカード(HP)を初めとする業界プレーヤーはデスクトップ・コンピューター用ハード・ディスク・ドライブ(HDD)の大容量化に拍車を掛けている。
ここ数年1～2ギガバイト(Gb)のＨＤＤ製造を手掛けてきたＨＰ社は先週オフィス市場向け8.7Ｇｂドライブを売り出した。この他、同社は4Ｇｂドライブを来年市場に投入する計画だ。今日市販されている大部分のシングル・ディスク・ドライブの容量は500～600Ｍｂだが、同社は800メガバイト(Mb)以上の記憶容量のシングル・ディスク・ドライブの製造も手掛けている。ＨＰ社のクー・テンリアット営業課長(ｲﾝﾌｫｰﾒｰｼｮﾝ･ｽﾄｰﾘｯｼﾞ･ｸﾞﾙｰﾌﾟ)によると、同社はハイエンド・ディスク・ドライブ市場に照準を合わせているが、デスク・トップ・ドライブ市場もターゲットとしている。ＨＰ社はその製品をクリエイティブ・テクノロジーのサウンド・カード・ボックスのような既成のエンド・ユーザー向け商品パッケージに組み込んで販促する戦略も採用しており、これによりユーザーはディラーのサポートを受けられる。
ＨＤＤメーカー、クアンタムの幹部によると、アジア太平洋地域ＰＣ(ﾊﾟｰｿﾅﾙ･ｺﾝﾋﾟｭｰﾀｰ)市場におけるＨＤＤ需要は年率25％の成長が見込め、記憶容量も現在の540Ｍｂから来年は850Ｍｂ～1.2Ｇｂに拡大する見通しだ。このためクアンタムも来年半ばには1.2Ｇｂのシングル・ディスクを市場に投入すると言う。ＩＢＭ、クアンタム、ＨＰ等は、ＭＲ(ﾏｸﾞﾈｯﾄ･ﾚｼﾞｽﾃｨﾌﾞ)ヘッドやＰＲＭＬ(ﾊﾟｰｼｬﾙ･ﾘｽﾎﾟﾝｽ･ﾏｸｼﾏﾑ･ﾗｲｸﾘﾌｰﾄﾞ)といった新技術を先を争って導入している。磁気感度の高いＭＲドライブも、先進コード化技術により効率的にデータをディスクに記憶させるＰＲＭＬも、ディスクの記憶密度を高めるのに役立つ。業界の予測によれば、世界の記憶装置市場は昨年の339億米ドルから2000年時には694億米ドルに達する見通しと言う。(ST:10/30)