【ムンバイ】インド政府は新鉄鋼政策を閣議承認したが、鉄鋼業界は、新政策を通じ価格統制を導入しようとする政府の姿勢に反発している。
ビジネス・スタンダードが2月9日報じたところによると、Ram Vilas Paswan鉄鋼相は、このほど「価格変動の抑制を目指す新鉄鋼政策草案が閣議承認された」と語った。同相によると、政府は16万クロー(US$358.26億)の投資を通じ、国内における年間鉄鋼生産量を現在の3800万トンから2020年までに1億1000万トンに拡大することを目指している。
国内生産される3800万トンの大きな部分が民間により生産されている上、インド人民党(BJP)前政権が鉄鋼製品に対する規制を解除したことから、価格変動の抑制は難しく、輸入価格も不安定なため、鉄鋼価格の統制はますます困難になっていると言う。
これに対して鉄鋼業界筋は「新政策には価格統制の手段が示されていない。加えて政府は過去2年間に鉄鋼輸入税を30%から5%に引き下げた。一体どのように価格を統制しようと言うのか」と疑問を呈するとともに、「鉄鋼業界は市場力学に従っているに過ぎない」と不満を述べた。
Ispatスポークスパースンによると、鉄鋼価格は2005年5月以来35%下降し、2年来の最低水準に達している。国内鉄鋼価格は国際価格に連動しており、価格を引き下げる唯一の手段は国内鉄鋼産業の競争力を強化することである。そのためにはインプット・コストをチェックする必要があるが、鉄鉱石のトン当たり価格は816ルピーから2000ルピーに上昇している。このため鉄鋼メーカーにキャプティブ鉄鉱山の経営を認める必要があると言う。
某鉄鋼業界筋も、「Tata SteelとSteel Authority of India Ltd(SAIL)は独自の鉄鉱山を保持しているが、他のプレーヤーは、原料を市場価格で購入せねばならない。原料コストを規制することなく鉄鋼価格のみを統制するのは不可能」と指摘した。