2005-09-09 ArtNo.36287
◆カリフ農業生産、例年並み降雨に関わらずマイナス成長
【ムンバイ】気象庁は8月31日までの全国の降雨量は677.8mmと、例年平均の717.9mmを6%下回るのみと発表したが、カリフ(kharif:初冬収穫作物)の作柄は芳しくなく、水稲、大粒穀類(coarse grains)、豆類、脂肪種子等の主要作物の生産量はマイナス成長を記録する見通しだ。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが9月7日伝えたところによると、全国36小気象管区(meteorological sub-divisions)の内、25管区の降雨量が例年並み(normal rains)で、不十分(deficient:通常の降雨量を20-60%下回る)は5管区のみとなった。
しかし不規則な降雨が様々な農産品の作柄に深刻な影響を及ぼしている。中でもラジャスタン州が最悪となっている。西ラジャスタン、西ウッタルプラデシュ、アンドラプラデシュ沿海地域の降雨量は例年平均を21~34%下回り、その他の少なからぬ地域の降雨量も例年を11~19%下回っている。特に、西マドヤプラデシュ(-19%)、ハリヤナ(-18%)、東ラジャスタン/チャッティースガル(-17%)、パンジャブ(-16%)、ビハール/タミールナド(-11%)等の地域は、水稲、豆類、脂肪種子等のカリフ作物の主要産地で、特に脂肪種子の生産の深刻な落ち込みが予想される。マドヤプラデシュとラジャスタンでは大豆の減産が見込まれ、北部平野は全体的に豆類、主に木豆(tur or arhar)や大粒穀類の作柄に対する水分ストレスの影響が懸念されている。短期間に雨期が回復すれば、影響は免れるが、最良のケースでも昨年並みか、やや昨年を下回るレベルにとどまるものと見られている。
アナリストが予想する品目別カリフの収量は米7000万トン(7170万トン)、大粒穀物2500万トン(2670万トン)、脂肪種子1250万トン(1490万トン)、豆類450万トン(500万トン)で(括弧内は前年同期の収量)、綿花の収量も2320万梱(梱=170kg)と、前年同期を100万-120万梱下回るものと予想されている。しかし大量の備蓄が存在するため、供給不足の恐れは少ない。
唯一、サトウキビの予想収量は2億7000万~2億7500万トンと、前年の2億3000万トンを上回る見通しだ。砂糖の予想生産量は1700万~1750万トンと、前年同期の1300万トンを上回るが、在庫量が低水準なことから、供給が逼迫しそうだ。
Food Corporation of India(FCI)の米と小麦の在庫は引き続き低水準で、FCIがどれほどの米を購買できるかが注目される。FCIの小麦の購買量は昨年水準を200万トン下回った。向こう数ヶ月の食料管理は極めて重要で、原油の高騰と相まって各種穀物の供給が逼迫すれば、インフレの高進を招く。
今年末にはウッタルプラデシュ州と西ベンガル州における州議会選挙が予定され、来年初にはタミールナド州の州議会選挙も控えているため、政府の価格管理能力が問われることになりそうだ。
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