【ニューデリー】最近のHonda Motorcycle and Scooter India (HMSI)の労使紛争は、組合意識を蘇らせ、組合全国組織のオフィスを訪れる労働者が増勢を辿っている。『組合活動を再燃させたのは、製造業ブームなのか、企業に密着した政治的雰囲気なのか。何れにしても、組合活動が産業界に再び足場を見出したことは否定できない』と地元紙は報じている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが8月10日伝えたところによると、電子メディアが紛争の経過を迅速・赤裸々に報じる中でHMSI事件は、瞬時に全国的ニュースになった。また国民会議派長老の介入を待って初めて解決したことから、この種の紛争の再発が懸念されている。実際、ここ数ヶ月、コカコーラ、トヨタ、S. Kumar's、Omax Autos等、業種を問わず労使紛争が頻発しており、紛争の原因も賃金問題に限らず、複雑化している。
労使問題の専門家によると、一部の多国籍企業は労働法の遵守に消極的で、柔軟な雇用制度の導入を求めるとともに、組合組織の阻止を図っている。こうした現象は多国籍企業に限ったものではなく、地元経営者も同様の姿勢をとっていると言う。
インド労働組合センター(CITU:Centre of Indian Trade Unions)のTapan Sen書記は、「企業が労働法を遵守せぬことが主因」と述べ、グルガオンにおけるHMSI事件を引き合いに「不幸なことに往々にして当局も企業となれ合いになっている」と指摘した。
労使問題専門家も、「企業が組合の組織を認めない風潮が高まっているが、これは労働法に反している」と述べるとともに、「最近のHMSIにおける労使合意は、組合認知のシグナルになった」と語った。
全インド労働組合会議(AITUC:All India Trade Union Congress)のGurudas Dasgupta総書記は、「グルガオン当局は当初、HMSI労組の登録阻止を図り、AITUCが介入した後、初めて登記を認めた」と述べ、また「Daewoo Motorsの現地子会社は、労働者に対する補償をすることなく、インドからの撤退を当局により認められた。このため工場労働者らは厳しい状況に陥った」と指摘した。
労働者管理センター(CWM:Centre for Worker's Management)のGautam Modi氏は、「労働者の不満の意思表示が拡大しているのは、経済志向の政治の所為とばかりは言えない。経済ブームは給与ブームと手を携えて進む必要がある」と語った。