2005-06-24 ArtNo.35787
◆インド/シンガポール協定、モーリシャス/キプロスに打撃
【ムンバイ】インドがシンガポールと包括的経済協力協定(CECA:comprehensive economic cooperation agreement)を結ぶことにより、タックス・ヘブンとしてのモーリシャス及びキプロスの地位が動揺するものと見られる。
エコノミック・タイムズが6月23日報じたところによると、外国機関投資家(FII)は今後アジアの金融ハブ、シンガポールにその資金をシフトするものと予想される。
法人向けの税務・経営コンサルタント・サービスを手がけるRSM & Coのパートナー、Punit Shah氏によると、少なからぬ多国籍企業がシンガポールにハブを設けているため、CECAが発効すればモーリシャスはベンチに退く他ない。モーリシャスの経済の大きな部分はオフショア銀行の外貨管理業務に依存しているため、インドとシンガポールのCECA締結は凶報と言える。その実、外国機関投資家はこれ以前からシンガポールを拠点にしており、モーリシャスは単なるポスト・ボックス・オペレーションに利用されていたに過ぎない。外国機関投資家にとって、シンガポールに拠点を移すメリットの1つは、地元企業のステータスで資金を調達できること。
Nishith Desai Associatesの弁護士らによると、キプロスからインドの債券市場に投資している外国機関投資家もシンガポールにシフトするものと見られる。キプロスの金利収入に対する税率は極めて低いため、二重課税防止協定の恩恵は大きかった。
しかし法曹界筋によると、米国政府が租税条約の濫用(treaty shopping)を規制するよう圧力をかけていることから、この方面の規制条項を設ける必要があるものと見られる。例えばシンガポールにおける特典制限(LOB:Limitation of Benefit)規則は、シンガポール以外に送金せぬ企業のメリットを少なくする。最終的にどのようなものになるかは依然不透明だが、このことは他国に設けた銀行口座の預金により運営される製造企業に影響を及ぼす見通しと言う。
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