【ニューデリー】インド・タイ自由貿易協定(FTA:free trade agreement)下のネガティブ・リスト削減を目指し、タイのThaksin Sinawatra首相が6月3-6日の間、インドを訪れる中、インド自動車業界が警戒感を高めている。
インディアン・エクスプレスが6月3日報じたところによると、インド自動車製造業者協会(SIAM:Society of Indian Automobile Manufacturers)筋は、完成車(CBU:completely built units)/エンジン/シャーシーをネガティブ・リストにとどめるよう改めて政府に申し入れたことを確認した。タイでは65万台の年産能力、従って設備全体の50%が遊休している。加えてFordやToyota等の国際メジャーは向こう数年間に12億5000万米ドルの投資を予定している。
インド・タイ間のFTA発効後、最初の四半期にタイは早期収穫方式(EHS:early harvest scheme)の下、インドに5000万米ドルを輸出したが、インドからタイへの輸出は12万5000米ドルにとどまった。商業情報統計総監(DGCIS:Director-General of Commercial Intelligence & Statistics)の最新データによれば、今年第1四半期のタイの対インド貿易黒字は前年同期の2730万ルピーから5500万ルピーに拡大した
インド業界は、完成車輸入の減免税を認めることは、一部のグローバルOEM(original equipment manufacturers)に、インドからタイへの製造拠点移転を促す恐れが有ると懸念している。信用格付け会社Investment Information and Credit Rating Agency (ICRA)の報告によると、タイの自動車産業は製造面でインドに対し、12-22.5%優位に立っている。
インド自動車産業にとって、もう一つの懸念材料は、バングラデシュ・インド・ミャンマー・スリランカ・タイ経済協力機構(BIMSTEC)の自由貿易交渉が進められていること。年商50億米ドルの自動車部品産業を擁するタイはアジアのデトロイトと称されているが、同交渉にもタイが名を連ねていることから、新たな側面攻撃に晒される恐れがある。このためインド自動車業界は、BIMSTEC交渉においても全ての四輪車と250cc以下の二輪車の完成車をセンシチブ・リストに含めるよう政府に求めている。