【ニューデリー】電力省は、国内における供給不足に対処するため、各州に今会計年度中に石炭1325万トンを輸入するよう求めた。
ビジネス・スタンダードが6月3日報じたところによると、電力省は各州に対して電力の供給不足を回避するため、年間を通じて石炭の安定した供給を確保するよう求めたが、石炭の調達法については、各州の裁量に委ねた。
国営火力発電会社National Thermal Power Corporation (NTPC)は、Minerals and Metals Trading Corporation Ltd(MMTC)を通じ、約210万トンの石炭を輸入する計画だが、同社も2005-06年の輸入量を400万トンに拡大するよう求められた。
Gas Authority of India Ltd (GAIL)に対してもガス火力発電所向け供給を優先し、液化天然ガス(LNG)の輸入を拡大するよう指示された。仮に既存のガス火力発電所がフル稼働するなら約3000MW(メガワット)の電力を追加できると言う。
電力省筋によると、NTPCが最近稼働させたオリッサ州Talcherの500MW発電施設は、石炭の供給不足から完全操業していない。Talcher、アンドラプラデシュ州Simhadri、ビハール州Kahalgaon、西ベンガル州Farakkaの他のNTPC発電所も同様に向こう数ヶ月、持続的石炭不足に悩まされる見通しだ。
今会計年度の石炭不足は約1000万トンと見積もられ、中でも20カ所の火力発電所は1週間分に満たない石炭の供給を確保しているに過ぎない。今年と来年、追加される新発電施設を計算に入れるなら、2007年末までに年間供給不足は3000万トンに拡大する。2006-2008年の間には、発電設備能力が大幅に拡大するため、石炭の供給不足の深刻化が予想される。
国営Coal India Ltdとその子会社の炭鉱開発プロジェクト12件の遅れが、こうした石炭不足の主因とされる。これらのプロジェクトは、専ら火力発電所に石炭を供給するために計画されたもので、第10次五カ年計画期間(2002-07)に稼働するはずだった。しかし少なからぬプロジェクトが未だに認可されていない。
こうしたことから今後2年間に追加される新発電施設の需要に応じるため、石炭の輸入を一層拡大する必要がある。仮に設備を100%稼働させることができないなら、拡張は無意味である。既存の港湾施設や鉄道の輸送能力からすれば、この程度の輸入は容易に処理できる。しかし輸入量を一層拡大した場合には、ロジスティクス面で問題が生じる恐れがある。
2004-05年度には、燃料の供給不足から180億ユニットの電力損失を被った。ガス火力発電所の状況は一層深刻で、2004-05年のプラント負荷率(plant load factor:平均負荷÷最大負荷)は60%未満だったと言う。