【ニューデリー】小泉純一郎首相が、政府・民間部門の代表団を率いて来月インドを訪問することから、両国関係が新段階を迎えるものと期待されているが、インド及び中国駐在大使を務めた谷野作太郎氏(政府顧問/東芝社外取締役)は、このほど地元紙に対し「両国間のビジネス・インタレストを高めるにはMaruti Udyog Ltd、ホンダ、トヨタに続くさらに多くのサクセス・ストーリーが必要」と指摘した。
インディアン・エクスプレスが3月16日、谷野氏の言を引用し伝えたところによると、小泉首相の訪印を機に、インフラ開発、ソフトウェア企業に対する源泉徴収税、航空/観光協力強化、政府開発援助(ODA:Overseas Development Assistance)、日本船舶の海上交通の安全、国連安全保障理事会常任理事国議席等、両国間の様々な懸案事項が討議されるものと予想される。
インドに投資を希望する日本企業にとってインフラの開発は依然として主要な関心領域と言えるが、知識不足と関心の薄さが目立つ。このためインドは日本の各都市でトレード・フェアを催す必要がある。
韓国と中国の企業は過去10年間にインドに積極的な投資を行ったが、日本企業はバスに乗り遅れた感がある。しかし東芝についていえば、インドは同社のレーダーにさえ捕捉されていない。東芝は現在少数の技術提携と小規模な投資を行っているに過ぎない。
とは言え、ソフトウェア領域では両国間の積極的な協力関係が徐々に醸成されつつある。例えば、マハラシュトラ州Pune拠点のCentre for Development of Advanced Computing (C-DAC)は、日本のソフトブリッジ(Softbridge)と提携し、日本人エンジニアにソフトウェア開発に関わる訓練を提供している。またインド人エンジニアに対する日本語の講習も行われている。
日本企業の対インド投資は90年代半ばから90年代末にかけて、増加傾向を見せたものの、その後縮小した。それとは対照的に日本企業の中国投資は同時期を境に加速した。2004年の日本と中国の往復貿易は1680億米ドルをマーク、中国は米国を追い越して日本の最大の貿易パートナーになった。しかし日本とインドの同年の往復貿易額は50億米ドルにとどまった。
何れにしても小泉首相のインド訪問は、両国間の関心と協力関係の拡大を促進するものと見られる。日本のビジネスマンと政治家の間にはインドに対する新たな関心が芽生えていると言う。