SEAnews 1995-10-06 ArtNo.3438

【シンガポール】マハティール首相と同郷の側近2人が与党ＵＭＮＯ(統一ﾏﾚｰ国民組織)基層組織の選挙戦で、守勢に立たされ結局その地位を維持できなかったことから、様々な憶測がなされている。
マハティール首相はダイム前蔵相とサヌシ前農相が膝元クダ州の党内選挙で区会議長に再選されなかったことに公に遺憾の意を表明した。両氏は80年代初期の党内抗争で首相がムサ元副首相とラザレイ元蔵相の挟撃を受けた際、党書記長及び党財務として、首相を補佐し、難関を切り抜けた経緯がある。首相は、これら両氏が区会議長に再選されなかったことにより、クダ州における首相の計画が阻害されるだろうとまで語った。首相は計画の具体的な内容には触れなかったが、インドネシア／マレーシア／タイ成長の三角地帯の要に位置するクダ州の経済的成長を加速するため、首相は長年の同志でもあるサヌシ氏を同州の首席大臣につける計画だったようだ。今年4月の総選挙でサヌシ氏が国会選挙への出馬を見合わせ、州議会選挙に出馬したのもその布石と一般に受けとめられている。ちなみにいわゆる北方の三角地帯構想は政府経済顧問を務めるダイム氏の発案に成るもので、同氏が中心になって推進してきた。
一方、マハティール首相の引き立てにより政界入り10年足らずで党内ナバー・ツーの座についたアンワル副首相兼蔵相と首相膝元で生じた政治闘争との関係が取り沙汰され、来年の党内役員選挙で、アンワル氏がマハティール首相に挑戦するのではないかとの憶測もなされているが、アンワル氏は極めて慎重にそうした野心のないことを重ねて表明している。(LZ:10/5)