【ニューデリー】インドとシンガポールは目下、包括的経済協力協定(CECA: comprehensive economic cooperation agreement)交渉を進めているが、インド側は世界貿易機関(WTO)のサービス貿易に関する一般協定(GATS:general agreement on trade in services)の枠内にそのコミットメントをとどめる方針だ。
ビジネス・スタンダードが10月18日、大蔵省筋の言として報じたところによると、原産地規則(rules of origin)に関しては、4桁の統一システム(HS:harmonised system)に基づく“関税番号の変化(change in tariff heading)”を配慮した40%の付加価値を原産地の認定基準にすることで両国は合意している。
今週、両国のシニア・オフィシャルの間で催される会議では、投資領域における相互協力が主要課題の1つになる。
シンガポール政府はシンガポール銀行3行に各18支店の開設を認めるよう求めている。しかしインド中央銀行Reserve Bank of India(RBI)は「インドはGATSに基づき外国銀行に合計12支店の開設を認めている。目下、同枠を54支店まで拡大する可能性を検討しているが、シンガポールだけに特別待遇を認めることはできない」との立場を表明している。
シンガポールはまた民間銀行外国株主の議決権に対する10%の上限撤廃を求めている。この点に関してもインド政府は「既に同上限の撤廃を検討しているが、やはりシンガポールだけ特別扱いすることはできない」としている。
シンガポールはこの他、テレコムや保険領域の外資出資率上限の引き上げを求めている。
CECAは商品取引における自由貿易協定(FTA)をモデルとし、サービスやその他の領域の貿易の開放を目指している。シンガポールは多くのサービス領域に柔軟性をもたせるよう提案しているが、インド側はGATSの枠を乗り越えるようなコミットメントを行うことには慎重な姿勢を示している。