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2004-08-25 ArtNo.34005
◆耐久消費財メーカー、自由貿易協定の影響に懸念
【ムンバイ】インド政府が近隣諸国と自由貿易協定(FTA:free trade agreements)を結ぶ中で、耐久消費財メーカーは将来の事業拡張の方針を決めかねている。FTAは一定期間後に二国間の輸入関税をゼロにすることを目指しており、例えばタイやシンガポールとFTAを結べば、地元企業や多国籍企業がインドに積極的に投資しなくなる可能性がある。
エコノミック・タイムズが8月21/23日報じたところによると、LGのSalil Kapoor主任(マーケッティング)は「規模の経済性を実現していない企業は打撃を受けるだろう」と予想した。同氏によると、LGはあらゆる価格圧力に対処できる。ASEAN諸国は、DVDドライブ、LCDターミナル、半導体等の過剰生産能力を抱えている。こうした製品をインドに輸出する中継基地としてタイが利用される可能性が有る。そうなればこの種のハイテク製品をインドで製造することは最早採算に合わない。また大部分のハイテク製品は、中国や世界各地で生産されたサブ・コンポーネントをインドで組み立てるアセンブリー方式により輸入されるようになる。しかし、Kapoor氏は「インド政府が国内投資を阻害するような状況を招来することはなかろう」と付言した。
法人コンサルタントのK S Raman氏は「LGやSamsungは既にインドに大規模な製造拠点を設けているため影響を受けないが、これからインド市場への進出を図るHaierやTCLは、投資計画に見直しを加えるだろう」と予想した。
Mirc ElectronicsのV Chandramouli副社長は「懸念すべきことは投資ではない。国内のハイエンド製品市場にフリー・ダンピングが行われ、40%の付加価値条項が遵守されないこと。とは言え、インド市場は十分な規模を備えている。また輸入によりハイエンド市場の成長が加速される可能性もある」と指摘した。
業界筋は「仮にFTAに適切な規制措置が盛り込まれないなら、多国籍企業の完成品輸入が容易になり、長期的にハイエンド製品領域への投資が阻害される恐れがある」と指摘した。
しかし山水のAnil Khera取締役は「インドにおける投資の先行きにさしたる懸念は存在しない」と楽観的見通しを語った。同氏によると、世界市場はグローバル化しつつある。タイは韓国や中国ほど開発されておらず、インドの13分の1の小さな市場である。また先進国のようにインフラが整備されていないインドにおいては、輸入は決してそれほど安上がりではない。したがって現状では何ら脅威は存在しないと言う。
とは言え、専門家筋は、「自動車、繊維、化学等の領域では、インド企業はタイやシンガポールの同業者と対等の競争力を保持していない。このためこうした業種はタイ及びシンガポールとのFTA締結によりマイナスの影響を被る恐れがある」と予想した。
インド政府はタイ及びシンガポールに続き、ASEANとの間でFTAを結ぶことを検討しており、そうなれば中国とASEAN間のFTAもインドに影響を及ぼすことになりそうだ。
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