【ニューデリー】インド医学研究評議会(ICMR:Indian Council of Medical Research)は遺伝子組み換え技術の安全な応用を確保する狙いから全国遺伝子技術監督局(National Gene Technology Regulator)の創設を提案した。
インディアン・エクスプレスが8月16日報じたところによると、ICMRは健康上の安全を確保するため厳格な規則を設けること、また保健省及びその傘下の組織の権限を強化することを求めている。
インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)/米国コ-ネル大学拠点のISAAA(International Service for Acquisition of Agri?biotech Applications)/M.S.スワミナサン研究財団(MSSRF:MS Swaminathan Research Foundation)が8月10日から3日間にわたり共催した『第二次緑の革命の先駆(Ushering In The Second Green Revolution)』と題する農業生物工学国際会議の席上、Kapil Sibal科学技術相は、2005年1月までに遺伝子組み換え作物のための単一の監督機関を設け、全国生物工学政策を立案する方針を発表した。このためICMRの今回の提案はタイムリーなものと言える。
しかし、ICMRの提案は、M.S.スワミナサン研究財団の提言とは若干異なる。M.S.スワミナサン研究財団の専門パネルは、5つの専門分野を代表する専門家で構成される自主裁量権を有する“全国生物工学監督局(NBRA:National Biotechnology Regulatory Authority)”の設置を提案した。同提案は、環境省に所属する既存の遺伝子工学認可委員会(GEAC:Genetics Engineering Approval Committee)の役割を軽減し、インド農業研究委員会(ICAR:Indian Council of Agricultural Research)の権限を強化することを目指している。
この点に関してICMRは、『遺伝子組み換え作物の監督制度:未来への道(Regulatory Regime for Genetically Modified Foods : The Way Ahead)』と題する報告書の中で、「設立を提案する全国遺伝子技術監督局は、遺伝子組み換え技術に伴うリスクを把握・管理することを通じて人の健康や環境の安全を確保することを目指している。このため同局は植物/微生物/動物/薬品等の生物工学製品の利用を監督する総合的権限を保持すべきでり、担当閣僚を専任することが望ましい」と述べている。