【ニューデリー】タイとの自由貿易協定(FTA)に伴い来月からタイ製品に対する輸入関税が引き下げられることから、自動車及び耐久消費財メジャーは、ソーシング戦略を再構築している。
エコノミック・タイムズが8月13日報じたところによると、Maruti Udyog Ltd(MUL)/Bajaj Auto Ltd(BAL)/Mahindra & Mahindra(M&M)等の自動車メジャーは、タイ側のコンポーネントや原材料サプライヤーに価格の見積もりを求めており、耐久消費財ディーラーらも、タイ製のカラー・テレビやエアコン、冷蔵庫の輸入を計画している。国内製造業者は値下げで対抗せざるを得ず、このことはディーラーにとっては販売ボリュームの拡大に役立つ。
MULは、ディーゼル・エンジンの全てのコンポーネントの見積もりを求めるとともに、0-5%の低関税に乗じアルミニウム等の原料やその他の標準製品の輸入も検討しているもようだ。
Shriram Pistons & RingsのA K Taneja重役(ED)は「我々は地元自動車メーカーに納入するためにタイの同業者との競争を覚悟せねばならなくなった」と語った。しかしSona Koyo SteeringのSurinder Kapoor会長兼MDは「既に国際市場でタイ業者と競争しており、国内市場においても違いはない。我々はこれまでも常にタイの同業者と競争して国際契約を獲得して来た。FTZは脅威ではなく、ビジネス機会をもたらす」と楽観的見通しを語った。
一方、タイに膨大な設備投資を行っている日系多国籍企業の一部は50%近い過剰能力を抱えている。日系企業やその他の多国籍ハイエンド製品メーカー、さらには独立のディストリビューターらは、この機に乗じてタイからのソーシングを拡大するものと見られる。
LG IndiaのS N Raiロジスティクス/資材調達主任は「耐久消費財に広く用いられるポリカーボネート製品がFTAの対象に加えられたことからタイから輸入するスコープが生じた。またスチレンとポリオールを除外したことにより、タイ・メーカーに冷蔵庫1台当たり1300ルピーのコスト優位を提供した」と語った。独立系ディストリビューターが既に輸入注文を行ったとの未確認情報も伝えられているが、消費者用電子/TV製造業者協会(CETMA:Consumer Electronics and TV Manufacturers Association)幹部は、一笑に付した。仮にその種の輸入注文が具体化しても、輸入インフラの上からも量的限界があると言う。