【コルカタ】石炭の平均16.7%の値上げは中核産業、取り分け国営Steel Authority of India Ltd(SAIL)や海綿鉄メーカー、発電業界に深刻な影響を及ぼす見通しだ。
ビジネス・スタンダードが6月16日報じたところによると、SAILは石炭値上げの直撃を受け、最も深刻な打撃を受けるものと見られる。同社は必要とするコークス用炭の全量をCoal India Ltd(CIL)から購入している。熱間圧延コイル(HRC)製造部門ではトン当たりの石炭購入価格が500ルピー・アップする。SAILは年間約1300万トンの石炭を消費しているが、内400万トンをCILから購入している。この内一部は長期契約に基づいているものの、それ以外の部分はスポット・ベースで購入している。
しかし別の国営製鉄会社Rashtriya Ispat Nigam Ltd(RINL)のB K Panda会長兼(MD)によると、同社は年間約340万トンの石炭を使用、内10-15%に相当する30万-40万トンをCILから長期契約ベースで購入、残りは輸入している。CILは主に低品質の石炭を供給しており、RINLに対する今回の値上げの影響は限られていると言う。
Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)とJindal Vijayanagar Steel Ltd(JVSL)は独自の炭坑を保持し、不足分は主に輸入している。JVSLのSajjan Jindal重役(MD)は「CILからは石炭を購入していない」と語った。
石炭消費者協会(CCA:Coal Consumers Association)のGautam Kumar会頭は、「過去15日間に製品価格が3000ルピー下降した海綿鉄業界は、非コークス用炭の20%値上がりで、マージンがほとんど望めなくなる。このため一部の業者は操業停止に追い込まれる恐れがある」と懸念を表明した。同氏によると、石炭ベースの海綿鉄工場の原料コストの60%は石炭で占められている。非コークス用炭が15%値上がりすれば、トン当たり海綿鉄の生産コストは500ルピー上昇する。製造業者はこうした値上がりを全て吸収することはできないと言う。
しかしCILのS Kumar会長は、「石炭値上がりの電力料への影響は1ユニット当たり0.06-0.07ルピーに過ぎない。したがって電力産業に対する影響はほとんどない」と強調した。同氏によると電力部門は燃料コストを織り込んだ料金構造を備えており、燃料の値上がりを自動的に顧客に転嫁できると言う。