【ハイデラバード】アンドラプラデシュ州Hyderabad拠点のNatco Pharma Ltd(NPL)は12日、スイス企業Novartis AGによる抗癌剤Glivec(メシル酸イマチニブ)のインド国内における独占販売権(EMR:exclusive marketing right)取得を無効にする法的措置を講じる方針を発表した。
ビジネス・スタンダード、インディアン・エクスプレス、エコノミック・タイムズが11月13/14日NPLのステートメントを引用し報じたところによると、ノバルティスはインド特許法(Indian Patent Act)に基づきインド特許商標監督総監(CGPTI:Controller General of Patents and Trademarks of India)からインド初の独占販売権(EMR)を取得したが、インド特許法の条文によれば、この種の独占販売権は、貿易関連知的所有権(trips:TradeRelated Aspects of Intellectual Property Rights)協定批准国において1995年1月1日以降に特許申請がなされた薬品にのみ適応される。しかしノバルティスは1995年以前にメシル酸イマチニブの特許申請を行っており、この点から言っても、ノバルティスに対する独占販売権の付与は妥当でない。
またメシル酸イマチニブのような救命薬に関しては、商業権や法的立場を超えた視点から問題を検討する必要がある。ハイコストな薬品の独占販売権を認めるなら、良質な薬品による治療を受ける機会を一般患者から奪うことになり、人道に反する。したがって少なくとも救急薬や救命薬に関しては政策に見直しを加える必要がある。
NPLは2003年1月に慢性骨髄製白血病治療薬を“Veenat”商標で発売したが、同薬品はGlivec同様、メシル酸イマチニブ(imatinab mesylate)をバルク活性成分(bulk active ingredient)としている。Veenatの1患者当たりの年間コストは2700米ドル、これに対してGlivecのそれは2万7000米ドルにのぼる。
ノバルティスがインドにおけるGlivecの5年間の独占販売権を認められたことにより、NPLは直接打撃を受ける。このため同社はノバルティスの独占販売権を無効にする様々な法的措置を検討していると言う。