【ニューデリー】非関税障壁として外国鉄鋼輸出業者のみならず、国内の広範な鉄鋼製品ユーザーを苛立たせて来た輸入鉄鋼製品に対するインド標準局(BIS:Bureau of Indian Standards)の品質認可取得義務がついに撤廃された。
エコノミック・タイムズが10月31日報じたところによると、BIS規準遵守義務は2000年11月に導入され、プレート/シート/ストリップ/コイル等の熱間圧延(HR)鋼板に適応されたが、外国貿易総局(DGFT:Directorate General of Foreign Trade)は10月28日付け通達において全ての品目に対するBIS規準遵守義務を撤廃すると発表した。
BIS規準遵守義務は、“30%の輸入関税”及び“トン当たり302米ドルのフロア価格”とともに国内一次鉄鋼メーカーを国際競争から保護する強固な防壁の役割を務め、国内鉄鋼価格の過去1年に及ぶ急騰を支えて来た。依然として高い輸入関税とフロア価格は存在するものの、BIS規準遵守義務の撤廃は、国産品と輸入品の競争を促し、国内鉄鋼ユーザーに恩恵を及ぼす見通しだ。
鉄鋼省は10月28日、1965年1月4日及び1971年3月26日付けの通達(public notice)を撤廃、これを受けてDGFTは上記通達を発した。DGFTはこれまで、BIS規準遵守義務は鉄鋼省の1971年通達をベースにしたもので、同局の独断ではないと説明して来た。鉄鋼省の1971年通達は、『品質基準の遵守は国産鉄鋼製品に対する強制的義務』と言う疑わしい主張を前提にしている。また鉄鋼省はDGFTのBIS規準遵守通達は、同省に何ら相談なく発せられたものと述べて来た。
鉄鋼省とDGFTは共に、以上の点を論拠にBIS規準遵守義務に伴い鉄鋼ユーザーが被った不利益に対する一次責任の回避を図って来た。法律論からすれば、BIS規準は単なるガイドラインに過ぎず、強制義務ではない。いずれにしても現在国内に流通する鉄鋼製品の40%はBIS規準を満たしていない。
興味深いことに鉄鋼省とDGFTは、同じ日に上記の関係通達を足並みを揃えて撤廃した。これによりSteel Authority of India Ltd (SAIL)、Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)、Essar Steel Ltd(ESL)、Ispat Industries Ltd、Jindal Vijayanagar Steel Ltd(JVSL)等の一次鉄鋼メーカーは、これまで既得権としてきた保護措置の一部を喪失、国際競争の波に晒されることになった。