【ニューデリー】インド政府は、鉄鋼一次メーカーが今月末までに価格を安定させないなら、同部門に価格統制を復活させる他ないと見ている。
エコノミック・タイムズが9月22日報じたところによると、インド政府は1964年に廃止した鉄鋼に対する価格統制を、供給不足が深刻化し、外貨準備も底をついた1970年に“Iron and Steel Control Order”として復活させた経緯がある。
国内販売に比してマージンが低いにも関わらず、鉄鋼輸出ブームが持続しているが、鉄鋼会社は、国内に供給不足を生じさせる狙いから、故意に輸出を高水準に維持しているとされる。Steel Authority of India Ltd (SAIL)の今年初5ヶ月(2003/4-8)の輸出は126%の成長を記録した。
加えて、保護関税のお陰で、鉄鋼製品の輸入価格は、国内価格をトン当たり3300ルピー上回っている。これ以前には輸出は、国内に生じた過剰製品の捌け口だったが、今では国内に供給不足を生じさせ、国内価格を引き上げる手段になっている。ユーザーの不満に関わらず、鉄鋼生産者は、「国内価格を輸入価格の水準まで引き上げてはならないと言う理由はない」と考えている。実際には旺盛な需要が存在するにも関わらず、高値とその結果としての代用品の利用で、様々な業種の鉄鋼消費が落ち込んでいることを公的データは示している。自転車メーカーから建設業界まで広範な鉄鋼消費者が、人為的に高水準が維持されている国内鉄鋼価格に不満を訴えており、取り分け今年7月以降の価格は法外なものになっている。
こうした中で鉄鋼省は、外国貿易総局(DGFT:Directorate General of Foreign Trade)に2000年11月に発せられた異論の多いNO.44通達を撤廃するよう求めた。同通達は輸入鋼材に対して非関税障壁に等しい品質基準を設けたものだが、DGFTは今や鋼材輸出業者に対する品質基準を導入すべき時期を迎えていると言える。