SEAnews 2003-09-22 ArtNo.32000

【ムンバイ】インドの主要鉄鋼会社－Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)／Ispat Industries Ltd(IIL)／Jindal Iron & Steel Company(Jisco)／Jindal Vijaynagar Steel Ltd(JVSL)等－は中国向け鋼材輸出を最大50％カットした。
インドの対中鋼材輸出は、中国の鋼材輸入全体の6％に達し、世界貿易機関(WTO)により設定された3％の上限を乗り越えた。このため中国政府は最近、インド政府に輸出の自主規制を求めた。折しも米国と欧州における鋼材価格が上昇に転じたことから、インドの鉄鋼メーカーらは、これらの市場に重心をシフト、中国一辺倒の輸出戦略の転換を図っている。
ビジネス・スタンダードが9月20日報じたところによると、例えばTiscoは次期四半期の中国向け亜鉛メッキ鋼板の輸出を50％カットする。TiscoのH M Nerurkar副社長(鋼板担当)は「今年7－9月期には亜鉛メッキ鋼板1万8000トンを中国に輸出するが、次期四半期は少なからぬ製品が米国と欧州に振り向けられ、中国向け輸出は9000トン前後に縮小する。欧米市場における鋼材価格は7月以来改善している」と語った。
Essar Steel Ltd(ESL)スポークスマンも、「中国政府のアドバイスに従い、暫く対中輸出を自粛する」と語った。ＥＳＬは今年上半期に特殊用途の熱間圧延コイル(HRC)約4万トンを中国に輸出した。これは同社の輸出量全体の約17％に相当する。
ＩＩＬのVinod Garg重役(ED)によると、中東や欧州、取り分けイラクのマージンは過去3ヶ月顕著に改善しており、中国政府の警告も有ることから、同社は一部の製品をこれらの市場に振り向ける。このため中国向けＨＲＣ輸出は10％ほど縮小する見通しと言う。
ＪＶＳＬの今年初8ヶ月の中国向け輸出は1万トンと、2002－03年通年の6万トンに比べ、既に劇的縮小を見ている。同社幹部は、「世界の他の地域でも同様の価格が望めることから、中国は向こう数カ月、最早同社のフォーカス・エリアではない」と指摘した。Jiscoもまたその亜鉛メッキ鋼板製品の輸出先を中国から欧州、米国市場に転換すると言う。