SEAnews 2003-09-19 ArtNo.31984

【ニューデリー】インド政府は、ガス価格の高騰、鉄鉱石の供給不足、非コークス用炭に対する高い輸入税と言う三重苦に直面する国内海綿鉄産業のための諸施策を準備している。
ビジネス・スタンダード、ヒンドゥー・ビジネス・ライン、インディアン・エクスプレスが9月17日報じたところによると、Braja Kishore Tripathy鉄鋼相は16日催された海綿鉄製造業者協会(SIMA:Sponge Iron Manufacturers Association)の第11回年次会議の席上、以上の消息を語った。それによると、現在インド国内の海綿鉄製造施設の52％はガス・ベース、残りは石炭ベースとなっているが、先ず第1にガス価格を監視する料金審議会(tariff commission)を設けるとともに、優先順位方式ではなく、比例方式によりガスを供給する。
第2に政府は、鉱業省及びインド鉱業局(Indian Bureau of Mines)の代表、その他の関係省庁の次官、鉄鉱石生産業者及びＳＩＭＡの代表から成る専門委員会を組織し、鉄鉱石の供給確保問題を検討させている。
海綿鉄業界は、鉄鉱石のトン当たり価格が2002年の640ルピーから2003年9月の2100ルピーに228％ジャンプしたとして、政府に何らかの対策を講じるよう要求して来た。
専門委員会の目標は長期的には、公共、民間両部門による新鉱山の開発を奨励すること、また短期的には輸送や経営面のボトルネックを除去することにある。
鉄鋼省のVK Duggal次官によると、鉄鋼省の次官補に率いられる同専門委員会の初会議がこのほど開かれた。会議には鉱業省、鉄鉱石生産者、インド鉱業局、インド鉱物産業連盟(Federation of Indian Mineral Industry)の代表及び関係州政府の次長らが参加した。
第3に政府は非コークス用炭の輸入関税引き下げ案を来年度予算に盛り込む可能性を大蔵省と協議している。現在コークス用炭の輸入関税が5％であるのに対し、非コークス用炭の輸入関税は25％にのぼり、ＳＩＭＡは後者の引き下げを求めている。国産非コークス用炭の品質が劣ることからインドは輸入に依存している。石炭は海綿鉄製造コストの約60％を占めることから輸入関税の引き下げは海綿鉄業界にとって極めて重要な問題と言える。
政府はこの他、海綿鉄業界にコンソーシアムを組織、もしくは個別に石炭の洗浄施設を設け、石炭の質を高めるよう提案している。
インドは世界の海綿鉄市場の15.42％のシェアを占める最大の海綿鉄生産国で、年商4700クロー(US$10.25億)の海綿鉄産業は直接3万5000人余、間接には約13万人に就業機会を提供している。2002－03年の生産量は前年比約22％増の690万8000トンを記録、2007－08年までに年産1000万トンの大台に乗る見通しだ。インドは屑鉄の輸入に年間約1500クロー(US$3.27億)の外貨を費消しているため、海綿鉄産業の成長はこの方面の外貨の節約にもつながると言う。