【ニューデリー】インドとブラジルが米国の主張を受け入れたことにより、世界貿易機関(WTO)は先週催されたジュネーブにおける会議の席上、“知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS:the Agreement on Trade Related Aspects of Intellectual Property Rights)”及び“公衆の健康(public health)”問題に関して合意した。これにより貧困国は、エイズやマラリヤ等の風土病を克服するため、特許権に反して低価格なジェネリック薬品を製造・輸入することができることになった。
デカン・ヘラルドが8月31日UNI通信を引用し報じたところによると、WTO一般理事会(General Council)における同決定は、近く予定されるカンクン(Cancun:メキシコ)閣僚会議の促進剤の役割を果たすものと期待される。
しかしオックスファム(Oxfam)/国境なき医師団(Medicines sans Frontiers)のような保健活動組織や非政府組織(NGO)は、多くの条件を伴う今回の決定は、貧困国にとっては厳し過ぎると評している。即ち貧困国は強制ライセンス(compulsory licensing)スキームの下に関係薬品の製造と輸入を認められるが、商業的利益のために悪用されることがないよう厳しい制限が設けられている。インドやブラジルの製薬会社は、同スキームの下、アフリカ等の第3国にその薬品を輸出できるが、その際は包装も異なるものにせねばならない。また輸入国は、強制ライセンス・スキームを用いることに関してWTO一般理事会に報告せねばならない。
インド製薬業界はこの種の制限を望まなかったが、世界最大のエイズ感染地帯のアフリカが、以上の条件を認めたことから、最早それ以上有利な条件を引き出すことができなかったと言う。