2003-09-01 ArtNo.31864
◆インド自動車産業、二輪車に支えられ中国の同業者をリード
【ニューデリー】インドの自動車産業は、中国の同業者に比べ28%のコスト高に直面しているにも関わらず、良好なパフォーマンスを示しており、取り分け二輪車部門の収益性は中国の同業者を遙かに上回っている。
インディアン・エクスプレスが8月28日報じたところによると、インド自動車製造業者協会(SIAM:Society of Indian Automobile Manufacturers)と自動車部品製造業者協会(ACMA:Automotive Component Manufacturers' Association)の委託を受け、信用格付け会社Investment Information and Credit Rating Agency (ICRA)が作成した“インド自動車産業の競争力(Competitiveness of the Indian Automotive Industry)”と題するレポートは、以上の消息を伝えている。ICRAはインドと中国の自動車会社150社の年次報告書(インド2002/3期/中国2001/12期)を比較調査した上で以上の結論を下している。
それによると、インド二輪車会社の平均純益マージンが+7.8%であるのに、中国二輪車会社のそれは-8.9%にとどまっている。中国市場における競争は採算性を満たさぬレベルにまで価格を下降させている。中国におけるモーターサイクルの価格は300~1000米ドルと、インドにおける600~1000米ドルを下回っている。
しかし自動車部品産業の平均生産マージンは、中国が18.5%と、インドの12.9%を上回っている。とは言え平均純益マージンは、両国ともに4.8%で優劣がない。また投下資本利益率(ROCE:Return on Capital Employed)はインドの場合19.3%であるのに、中国は5.3%にとどまっており、インド企業の経営技術が中国企業のそれを凌駕していることを物語っている。しかし、これは中国企業の借入/自己資本比率が0.37と、インドの0.57を下回り、中国企業の自己資本基盤がインド企業のそれを上回っていることにも関係している。インド企業の棚卸資産回転率(inventory turnover)は9.71と、中国企業の4.60を上回り、在庫管理の効率もインド側が勝っている。
とは言え中国の四輪車、取り分け商用車部門の収益率は、インド企業を上回っている。これはインド企業の負債/自己資本比率の高さが裏目に出たもので、高額の利子負担がインド四輪車企業の収益性を悪化させている。インド企業の負債/自己資本比率は1.13と、中国企業の0.3を遙かに上回っている。平均純益マージンはインド企業が-5%であるのに中国企業は+1%となっている。乗用車(car)価格は両国ほぼ等しいが、商用車の価格はインドの方がハイコストになっている。しかしこれには両国商用車の仕様(鋼板の厚み等)の相違も関係していると言う。
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