【ニューデリー】最近の鉄鋼価格の上昇に伴い自動車メーカーも早晩値上げを強いられるものと予想されている。しかし何処も最初に値上げを実行することを躊躇しており、少なくともトップ3社は暫し観望姿勢をとっている。
エコノミック・タイムズが8月19日報じたところによると、Maruti Udyog Ltd(MUL)オフィシャルは、「問題を検討しているが、最終決定は、既存鋼材購買契約が満期を迎えた際の状況次第」と語った。MULの契約は今月末に切れるが、同社は次のタームの契約交渉を行った後、値上げするか否かを決定するものと見られる。ライバルのHyundai Motor India Ltd(HMIL)も、MULとほぼ同様で、同社のBVR Subbu社長は「問題を研究し、既存契約が切れた際に対応策を講じる」と述べた。これに対してTata MotorsのPraveen Kadle重役(ED)は「我々は少なくとも1年間の長期契約を結んでいる。従って直ちに価格に見直しを加える必要はない」と語った。Ford India Ltd(FIL)のVinay Piparsania副社長は「鉄鋼価格は、業界全体の問題であり、FILは他社に倣って方針を決める」とする一方、「我が社はローカル化を梃子に、製品レーンジを再編したばかりであり、顧客の購買意欲を喪失させるような措置に関しては、熟考する」と付言した。
自動車ディーラー筋によると、現在の好調な需要を冷却させることを望まぬカー・メーカーは、可能な限り値上げを回避して来た。観測筋は、「しかし大部分のカー・メーカーは昨年来徹底したコスト削減を行っており、最早鋼材の値上がりを吸収する余地はなくなっている」と指摘する。多国籍カー・メーカーのマーケッティング担当者は、「何れの自動車会社も値上げを実行する瀬戸際に立たされており、さもなければ納入業者が悲鳴をあげることになる」と語った。