2003-08-15 ArtNo.31761
◆インド、中国に勝るTV/冷蔵庫の低コスト製造拠点に
【ニューデリー】ルピーの対米ドル相場が強化し、輸入コンポーネントのコストが下降する中、インドは中国を凌ぐ世界で最も低コストなテレビジョン(TV)/冷蔵庫の製造拠点として浮上した。
ビジネス・スタンダードが8月13日伝えたところによると、OnidaブランドTVの製造を手がけるMirc ElectronicsのGulu Mirchandani会長兼MDは、「インドは輸入部品のハイコストに祟られ、中国に遅れをとって来たが、ルピーが強化したお陰で、今や世界最低コストの製造拠点になった」と語った。地元の主要な家電会社VideoconのVN Dhoot会長兼MDも「21インチ・テレビジョンの輸出価格は68米ドルで、中国の76米ドルを下回る」と指摘した。
インド電子産業は、TVコストの20%を占める集積回路(IC)を輸入に依存している。またテレビジョン・コストの60%を占めるブラウン管にも多くの輸入部品が用いられている。このためルピーの強化はインドのTVメーカーに幸いしたようだ。
しかし地場大手家電会社BPLのAjit Nambiar会長は、「インドのメーカーが中国の同業者と価格面で競争するには、なお長い道のりを要する」と語った。同氏によると。中国は年間2000万台のTVを生産しているが、インドにおける年産量は600万台に過ぎない。もし同じ品質の製品を比較するなら、中国の価格がインドを下回ると言う。
Whirlpool of IndiaのRaj Jain重役(MD)も「ロー・エンド冷蔵庫セグメントでは、インドは中国と対等、もしくはそれ以上の競争力を有する。例えば、170リッターの直冷式冷蔵庫のインドにおけるコストは100米ドルで、中国におけるコストを数ドル下回る。しかし輸入コンポーネントのコストは価格の5%前後に過ぎず、ルピー強化の恩恵は大きくない。インドは価格面ではまだまだ中国に及ばない」と指摘した。
LG IndiaのSanjay Arora生産主任は「過去数ヶ月の為替相場は、確かにインドのTVメーカーに恩恵を与えた。しかしスチールや銅価格の上昇が冷蔵庫市場を冷え込ませる恐れがある」と警鐘した。
冷蔵庫エアコン製造業者協会(RAMA:Refrigerator and Airconditioner Manufacturers Association)幹部によると、月収3000ルピー以下の最低所得層や3000~5000ルピーの低所得層にとって冷蔵庫価格は月収の2.3~6.2倍にのぼる。このため最低所得層における普及率は1%、低所得層のそれは26%に過ぎない。中国では冷蔵庫のコストは一般に月収の1.2-2倍で、このため普及率は最低所得層で72%、低所得層で84%に達している。したがって冷蔵庫の価格は最低所得層月収の1-2倍が理想的と言う。
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