【ニューデリー】鋼板と条鋼双方の値上がりを背景に鉄鋼産業が活況を呈する中、関連産業の成長にも弾みがついている。昨年世界最高の690万トンの生産高をマークしたインド海綿鉄業界は、400万トンの年間キャパシティー(何れも石炭ベース)を追加、鉄鋼産業の需要拡大に応じる計画だ。
エコノミック・タイムズが8月7日、海綿鉄製造業者協会(AIMA:Sponge Iron Manufacturers' Association)のS S Bhatnagar理事の言等を引用し報じたところによると、新設備が加わると国内の海綿鉄年間製造能力は現在の880万トンから1280万トンに拡大する。海綿鉄製造能力の拡張を既に進めているか計画しているものには、Jindal Steel and Power/Monnet Ispat/SunFlag/Bhushan Steel/Usha Martin/BT Steelが含まれる。この他、Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)も2004年半ばまでに新溶鉱炉を稼働させる。これらの新設備は何れも石炭ベースのもので、オリッサ/チャッティースガル/ジャールカンド/西ベンガル等の州の石炭産地に設けられる。投資額は600~700クロー(US$1.3億-1.52億)と見積もられる。Jindal Steel and Powerは、溶鉱炉2基を増設する計画で、今年11月までにその内の1基年産30万トンの炉が稼働する。
ガス・ベースの海綿鉄プラントは、ガス価格の変動とガスの供給不足に晒されている。閣僚グループ(GOM:Group of Ministers)が1000標準立米当たり350ルピーの値上げを決めたため、ガス調達コストはさらに12%上昇する見通しだ。Essar Steel、Ispat Industries、A V Birla傘下のVikramIspatはガス・ベースの海綿鉄製造施設を擁し、国内海綿鉄生産の約50%に貢献している。
この他、鉄鉱石の少なからぬ部分が輸出されるため、鉄鉱石の供給逼迫が海綿鉄業界にとってもう1つの成長阻害要因になっている。
国内における海綿鉄需要は2007年には950万トンに達するものと予想されているが、上記の拡張計画によりこうした需要は国産海綿鉄により100%満たされるものと見られる。鉄鋼業界は、海綿鉄への依存を高めており、くず鉄との競争はそれほど大きな脅威にはならないと言う。