【ニューデリー】国内鉄鋼業界は揃って海外、取り分け中国市場に目を向けているが、今後は国内市場における需要の急成長が望める。
インディアン・エクスプレスが6月30日報じたところによると、国営Steel Authority of India (SAIL)のSushim Banerjee地域主任(条鋼担当)は同紙に以上の見通しを語った。それによると、値下がり、セーフ・ガード、自由貿易協定(FTA)、ルピーの対米ドル相場の上昇等は、何れもインド産鉄鋼製品輸出の障害になり、急成長する中国への輸出は確かに魅力的だが、競争の過熱からマージンの下降が予想される。
これに対して国内市場における鉄鋼製品需要は2011年まで年率6－7％の成長が見込まれている。国内需要の伸びはそれほど迅速とは言えないが、建設部門と自動車部門は今後顕著な需要の伸びが見込めるだけでなく、高マージンが期待できる。
道路、橋梁、鉄道等のインフラ・プロジェクト等では、鋼材の利用が急速に拡大するものと見られる。とは言え、地元鉄鋼メーカーはこれまで海外にのみ目を向け、国内需要を醸成する努力を払って来なかった。こうした面で長期にわたる実績を有するセメント業界との厳しい競争に直面することも予想される。
また様々なレーンジの自動車モデルがインド市場に紹介される中で、自動車産業界における鉄鋼需要の急増も見込まれる。インドステンレス・スチール開発局(ISSDA:Indian Stainless Steel Development Authority)のNC Mathur局長によると、インド自動車産業の鉄鋼消費はまだ低レベルだが、ステンレス・スチールやその他の特殊鋼の需要が急速に拡大する見通しと言う。