【ニューデリー】最近サトウキビ農家の救済を兼ねたエタノール入りガソリン導入計画を実行に移したインド政府は、今やマンモス・バイオ燃料プロジェクトの実行を準備している。
エコノミック・タイムズが6月12日報じたところによると、全国脂肪種子植物油開発局(Novod:National Oilseeds and Vegetable Oil Development)はヤトロファ(Jatropha)の種子からバイオ・ディーゼルを製造する総コスト1430クロー(US$3.05億)のプロジェクトを立案した。
ヤトロファは天水(rain-fed)地区から乾燥地区まで全国8州で栽培でき、一石数鳥の効果が期待されている。第1にヤトロファの栽培は稲やその他の作物に比べ水を必要としない。このため降雨量の少ない地域の農業振興に役立つ。第2に最低支援価格(MSP:minmum support prices)依存農業からの離脱を促し、バイオ燃料の生産を振興できる。第3に農村人口の拡大を伴うことなく、緑化を促進できる。
同計画の下、今年(2003-04)からアンドラプラデシュ/カルナタカ/グジャラート/ラジャスタン/マドヤプラデシュ/マハラシュトラ/チャッティースガル/ウッタルプラデシュを含む全国8州の5万ha以上の土地にヤトロファを栽培する。以上の栽培計画のコストは1200クロー(US$2.56億)と見積もられる。計画には、搾油機(oil expeller)や採油ユニット(oil extraction unit)を含む施設を備えた調達センターを全国160カ所に設けることが含まれる。
農業省はインド科学大学(IIS:Indian Institute of Science)とエステル交換反応(transesterification)ユニットの設置に関する協議を進めている。インド工科大学バンガロール校との交渉の結果、1日当たり処理能力5トンのエステル交換反応ユニットのコストは200万ルピー(US$4万2657)前後で、技術的に実行可能との判断が下された。
Novodの計画通り1430クローを投じて、40万haの土地にヤトロファを栽培した場合、4~5年後には安定した収穫が見込め、その後45年間にわたり年間60万トン、額にして1020クロー(US$2.18億)のバイオディーゼルを生産できる。全栽培期間を通じた総収入は4万5900クロー(US$97.9億)と見積もられる。そして当初4年間に年間41万5000人の就業機会が創出される。
ちなみにヤトロファ油は、ニカラグアやオーストリア等の国でエンジン燃料用ディーゼル油の混合成分として既に利用されていると言う。