【ニューデリー】国際鋼板価格が急降下し、1年に及んだ値上がり基調は幕を閉じた。熱間圧延(HR)コイルは2月半ばにトン当たり365米ドルのピークに達した後下降に転じ、今では260米ドル以下になっている。取り分け3月第3週以来の値下がり幅は、トン当たり100米ドルを超える。
エコノミック・タイムズが4月15日、国内消息筋の言として伝えたところによると、中国の6ヶ月の輸入割当が2003年4月に満期を迎えたことが、国際的な値下がりの引き金になり、トレダーの在庫急増と中国港湾における滞貨現象が、こうした傾向に拍車をかけた。
インドの国内価格は、まだ国際価格ほど急激な落ち込みを見ていないが、Steel Authority of India Ltd (SAIL)、Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)、Essar Steel Ltd(ESL)等の鉄鋼メジャーの見通しを打ち消すには十分と言える。SAIL筋によると、国内HRC価格は過去3週間にトン当たり1500ルピー(US$31)値下がりした。
中国はその消費量以上に鉄鋼製品を輸入、2002年12月と2003年1月、2月に供給過剰が顕在化した。中国自体の鉄鋼生産も拡大し、こうした過剰現象が一層顕著になった。しかしSAIL幹部は、「中国が5月に新輸入割当を発表すれば、価格は上向き、トン当たり310-315米ドル前後まで回復する」と予想する。
国際価格がトン当たり100米ドル以上下降したのに対し、インド国内価格の落ち込みは50米ドル前後にとどまっている。もちろんこれには多少に関わらずルピーの対米ドル相場値上がりも影響しているものと見られる。政府筋によると、中国は、5月末までに韓国、日本、ロシア等の主要輸出国に対し、142万トンの新割当を行う見通しで、インドもその恩恵を享受するはずだ。
全国の州政府等が進める開発プロジェクトに伴う建設部門の需要増大が、国内鉄鋼市況の支えになっている。
しかし冷間圧延鋼製造業者協会(Cold-rolled Steel Manufactures' Association)筋は、「HRC一次メーカーは、4月にトン当たり価格を1万8500ルピーに1000ルピー引き下げたが、これでは不十分で、トン当たり1万4500~1万5000ルピーが妥当な線。こうした価格レベルになって初めて需要の本格的回復が望める」と指摘した。