【ムンバイ】総登録トン数(GRT:gross registered tonnage)が2001-02年の694万トンから2002-03年の624万トンに下降したことから、インド海運業の衰勢に対する懸念が高まっている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが4月12日報じたところによると、総登録トン数は2000-01年に707万トンのピークに達した後、下降の一途を辿っている。その実、第9次五カ年計画の初め以来、インド海運業の総登録トン数はほとんど増加していない。アナリストによると、仮に現在の下降局面が持続すれば第10次五カ年計画が終了する2006-07年には420万トンに縮小する見通しだ。また譬え第9次五カ年計画期間と同レベルのトン数が追加されたにしても2006-07年の総トン数は570万トンに約100万トン縮小、これに伴いインドの海運料支払い額は2000-01年の52億米ドルから2006-07年の86億6000万米ドルに拡大することになる。したがって緊急に総登録トン数を回復する必要がある。業界筋は150隻、合計325万トンの船舶を追加し、総登録トン数を700万トンを超えるレベルに維持せねばならないと見ている。
しかし現状では、高い法人税率に加え、不利な資本市場環境、低い投資収益率等が、海運業への投資を阻害している。この他、何ら奨励措置が存在せず、沿岸海運船舶の消耗品やスペア・パーツに対する関税免除も不在なことがマイナス要因になっている。こうした中で重量税(tonnage tax)の導入を通じ、資本の流入を刺激、海運業の総登録トン数の拡大を図るよう求める声が高まっている。
インド全国船主協会(INSA:Indian National Shipowners' Association)の依頼を受けTata Energy Research Institute (TERI)が調査したところによると、海運業の粗付加価値(GVA:Gross Value Added)は1990-91年の919.5クローから2001-02年の1524.2クロー(US$3.15億)に増加した。1トン1年当たりの平均GVAは2211ルピーで、総登録トン数の1%の変化は、GDPの0.0068%の変化を来す。従って2002年に関しては総登録トン数の1%の変動はGDPに90.26クロー(US$1866万)の変化を生じさせる。
重量税を導入すれば、総登録トン数の顕著な増加を生じさせ、それとは逆に既存の法人税を維持するなら総登録トン数は一層の下降を見る。
報告書は、重量税導入の他、“海外商業借款(ECB)の利子支払いに対する源泉徴収税の廃止”、“インド籍/外国籍船舶に就業するインド人に対する課税の公平化”、“船舶減価償却率の25%から40%以上への引き上げ”等を提案している。ちなみにTERIの当該報告書は海運省に提出されたと言う。