【ニューデリー】インド自動車業界は、輸出市場の開拓に本腰を入れた最中にイラク戦争が勃発したことから、戦略の見直しを強いられている。
エコノミック・タイムズが3月27日伝えたところによると、保険料の上昇と輸送ルート変更に伴う運賃コストの急増が最大の懸念材料とされている。
インドの主要な自動車輸出会社の1社に数えられるHyundai Motor India Ltd(HMIL)のBG Lee重役(マーケッティング&セールス担当ED)によると、スエズ運河の通過に際しては、既にウォー・リスク・プレミアムを支払っているが、もし通過不能になれば、ケープ・タウンを経由せねばならない。そうなれば北アフリカ向け貨物の輸送日数が10日ほど延長されるだけでなく、運送料も上昇する。保険料は戦争期間を通じて上昇するものと見られるが、問題は莫大なウォー・プレミアムが要求されるような事態が生じること。湾岸地区に向かう船舶には既に15%のウォー・リスク・プレミアムが上乗せされている。
M&MのPravin N Shah副社長(自動車海外業務担当)は、通常の海運契約の場合、レートは既に6%アップしており、戦争が長引けば、スケジュールにも混乱が生じ、輸送コストも平行して上昇すると指摘した。
輸出に重心をシフトしたFordは、今のところスケジュール通りの出荷を続けているが、これは同社がシンガポール経由で専らメキシコ、南アフリカにその製品を輸出しているため。
輸出品の70%を欧州市場に、残りを南アジア地域協力連合(SAARC)諸国に振り向けているMaruti Udyog Ltd(MUL)は、海運コストの上昇を吸収し、輸出先における競争力に影響が生じぬよう努めている。しかし同社幹部は「ブッシュ・ファイアが本格化するなら、完成車輸出ばかりでなく、コンポーネント輸出も影響を受ける」と懸念を表明した。同氏によると、米国と欧州方面の受注に陰りが生じており、その他の輸出先については、スケジュール通りの出荷が難しくなっていると言う。