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2003-03-24 ArtNo.30838
◆原料値上がりでアクリル繊維メーカー、揃って赤字計上確実に
【ニューデリー】インドのアクリル繊維メーカー4社-India Acrylic/Pasupati Acrylon/Consolidated Fibres and Chemicals/Vardhman-は、基礎原料のアクリロニトリル(ACN)の国際的な値上がりから2002-03年度には揃って損失を計上する見通しだ。
エコノミック・タイムズが3月20日伝えたところによると、これらの企業は海外原料に100%依存、年間合計9万トンのACNを輸入している。湾岸戦争の危機が高まる中で原油価格が上昇、これに伴いトン当たりACNの陸揚げ価格は12週間前の650米ドルから3月17日の1000米ドルにアップした。
アクリル繊維製造業者会議(FAFM:Forum of Acrylic Fibre Manufacturers)のAnil Rajwanshi事務局長によると、4社の2002-03年の合計損失額は150クロー(US$3102万)を超えるものと見られる。
目下、アクリル繊維1キロ当たりのACNのコストは65ルピーだが、金融機関に合計500クロー(US$1.034億)の負債を負うている4社の金利コストは、アクリル繊維1キロ当たり平均10~12ルピーで、合計コストは85-87ルピーになる。しかしポリエステル短繊維(PSF:polyester staple fibre)との競争からアクリル繊維の国際価格がキロ当たり80ルピーを超える水準を維持するのは難しい。現在、PSFのキロ当たり価格は約70ルピーとなっている。インドにおけるアクリル繊維の加工費は25ルピーと、世界的にも最低レベルだが、こうした状況からすれば、上記4社が損失を回避するのは不可能と言える。しかし第5のアクリル繊維メーカー、Indian Petrochemicals Corporation Ltd (IPCL)は、ACNを独自生産しているため、国際価格変動の影響を受けない。Reliance Industries Ltd(RIL)傘下IPCLのACN年間製造能力は2万トンだが、他のアクリル繊維メーカーには、自前のACN製造施設を設ける財政的ゆとりがない。目下経済的採算性を備えた規模のACNプラントのコストは2000クロー(US$4.136億)と見積もられる。
アクリル繊維メーカーらは、ACNの輸入関税を15%から5%に引き下げるよう要求して来たが、新年度予算案に同要求は反映されなかった。これに対してポリエステル産業が原料とする高純度テレフタル酸(PTA:purified terephthalic acid)の主要原料パラキシレンの輸入関税は10%から5%に引き下げられた。
少なからぬ国から輸入されるアクリル繊維に反ダンピング税が課されているものの、依然としてタイやその他のアジア諸国から低価格なアクリル繊維が輸入され、国内業界に脅威を及ぼしている。
こうした中でFAFMのR K Garg会頭は、SS Dhindsa化学・肥料相にACN輸入関税の引き下げを求めるとともに、主要繊維機械に対する5%の優遇関税を、アクリル繊維機械にも適応するよう訴えたと言う。
アクリル繊維産業の総投資額は750クロー(US$1.55億)で、国内年間製造能力は11万7000トン、5社の年間売上げは合計1200クロー(US$2.48億)を超える。
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