【ニューデリー】インドの鉄鋼メジャー、Steel Authority of India Ltd (SAIL)/Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)/Essar Steel Ltd(ESL)等は、向こう数カ月国際鉄鋼価格が引き続き上昇、もしくは現状レベルを維持するものと期待しているが、JM Morgan Stanleyはその最新報告書の中で、欧州における熱間圧延コイル(HRC)価格は2003年にはトン当たり255米ドル(FOB Brussels)に7%下降すると予想、インド鉄鋼産業の先行きに陰影が生じている。
エコノミック・タイムズが11月27日報じたところによると、JM Morgan Stanleyは「欧州鉄鋼価格は伝統的にインド鉄鋼市況に直接影響を及ぼす。このためインド鉄鋼市場に対する見通しも同時に下方修正した」と述べている。
それによると、同社は当初、世界の鉄鋼完成品消費が、2003年には4%の成長を見ると予想したが、2.4%にとどまる見通しだ。仮に中国を除外すれば、伸び率は2%にとどまると言う。ちなみに国際鉄鋼協会(IISI:International Iron & Steel Institute)は、2003年の国際鉄鋼消費が4.9%、中国を除けば3.1%の成長を見ると予想している。
Morgan Stanleyは、欧州連合(EU)諸国の鉄鋼消費の伸びが、2001年の-4.5%、2002年の-1.6%(予測値)に続き、2003年も-0.6%と、3年連続マイナス成長を記録すると予想している。
世界の粗鋼生産は2002-03年には2.1%、中国を除けば1.7%の成長が予想され、2002年の同生産高は8億6300万トン、2003年は8億8200万トンに達する見通しだ。また世界鉄鋼産業の設備稼働率は2002年の82%から2003年の83%に僅かに改善、欧州のそれは86%の水準を保つものと予想されている。