【ニューデリー】インド産業連盟(CII:Confederation of Indian Industry)は、このほど今年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率が6%を記録したとする一方、通年の成長率を5.4%と予想した。
ビジネス・スタンダードとヒンドゥー・ビジネス・ラインが11月4日報じたところによると、CIIは“経済の現状”と題する報告書の中で農業生産のゼロ成長を前提に今年通年のGDPの伸びを5.4%と予測している。それによると、不順な雨期により農業生産の見通しが不透明になっており、このことが国内経済全般の成長予測に影響を及ぼした。2002-03年のカリフ(kharif:初冬収穫作物)の収穫は昨年比18%減の9080万トンと、1997-98年以来の最低レベルに下降するものと見られる。工業部門の目立った成長は望めず、サービス部門の伸びは、農業部門の不振によりかなり影響を受けそうだ。工業部門の今年通年の成長率は6.5%、サービス部門のそれは7.5%と予想される。
今年第1四半期のGDP成長率は6%と、4四半期連続5%を上回る成長を記録、何れも5%を下回ったそれに先立つ3四半期の成長率と際立った対照をなしている。今年第1四半期には農業/工業/サービスの何れも昨年同期を上回る成長を見た。
インド国民は一連の金利引き下げにも関わらず、また一般の予想に反して政府が経営する国民小口貯蓄基金(national small savings fund)にその資金を積み立てた。また民間法人部門の貯蓄率は改善したものの、公共部門の貯蓄率は持続的な下降を見た。公共部門の貯蓄率は目下のところマイナスで、政府支出抑制の試みも失敗したため、過去十年改善の一途を辿って来た総国内貯蓄(gross domestic saving)も、後退を見るものと懸念される。加えて過去18ヶ月間維持されて来た民営化に対するコンセンサスに亀裂が生じたことから、ポリシー・メーカーは、異常に高い政府負債と8%のGDP成長目標が共存し得るか否かを慎重に検討する必要がある。中央・地方の政府債務のGDPに対する比率は1996-97年の56.3%から2001-02年の73.6%に拡大した。
今年初5ヶ月(2002/4-8)の輸出成長率は13.4%(米ドル/現在価格)と、昨年同期のマイナス成長から改善を見た。
しかし輸入は、最近の石油の値上がりにも関わらず、昨年同期の3.8%の伸びから1.8%のマイナス成長に転じた。
今年初5ヶ月には銀行総貸出(total bank credit)や中央銀行税収(central bank's tax revenue)等、その他の重要経済指標にもポジティブな兆候が見られたと言う。