【ムンバイ】TataグループはICICI Bank及びIndustrial Development Bank of India(IDBI)と、Mittal一族傘下の鉄鋼会社、Ispat Industries Ltd(IIL)の買収交渉を進めている。
ビジネス・スタンダードが11月1日報じたところによると、話し合いは先月を通じて行われたが、双方の希望価格に大きな開きが有ることから膠着状態に陥っているとされる。銀行筋は、タタがもしそれ自身の価格に固執するなら、商談が妥結する可能性は薄いと語った。しかしタタ・サイドは、徹底したバーゲン交渉を進める姿勢を見せている。
タタ・グループは、取り分け立地条件の良いマハラシュトラ州のDolviとNagpurにIILが設けた熱間圧延/海綿鉄工場と冷間圧延工場に関心を抱いているようだ。西部インドは国内最大の鉄鋼消費地だが、ジャールカンド州JamshedpurのTisco工場からマハラシュトラ州Mumbaiにその製品を出荷する際には、トン当たり1500ルピー(US$31)の輸送コストがかかる。
IILのPK Mittal会長は、「債権金融機関がタタ・グループとそのような商談を進めているとは聞いていない。金融機関との債務再編交渉は順調で、両者の間に大きな意見の相違は存在しない。負債の返済がなされ、経営も回復の軌道に乗ったこの時期にそのような動きが生じるとは思えない」と語った。
IILはまたビジネス・スタンダードに『イスパットは経営権の移動に関する虚報を否定する』とのタイトルが付いたFAXステートメントを送付、その中で「債権金融機関はIILの経営建て直しの進捗状況に満足しているが、一部の既得権グループは、虚報を流し、株主の間に動揺を生じさせようとしている」と非難した。
7500ルピー(US$15.51億)の負債を負うIILの借入/自己資本比率は3:1で、昨年も442クロー(US$9140万)の損失を計上した。Mittal一族はIILの60%のシェアを保持するが、内51%を担保として金融機関に預けている。
IILの進めるスチール・プロジェクトのコストは当初の4570クローから7000クロー以上に膨張した。別会社が管理することになったキャプティブ発電施設も未完成で、さらに500クロー(US$1.034億)を投資する必要が有るが、発電規模を353MW(メガワット)から110MWに縮小することにより、コストを400クロー(US$8271万)前後に引き下げることが目指されている。