【ニューデリー】外国貿易総監(DGFT:Director General of Foreign Trade)は、輸入鋼材の品質基準に対するこれまでの姿勢を転換、鉄鋼一次生産者の支持につながる見解を示した。
エコノミック・タイムズが10月16日報じたところによると、DGFTは2000年11月に「熱間圧延(HR)鋼板(plates/sheets/strips/coils)等33品目の鋼材を含む規制品の海外における製造業者と輸出業者は、それ自身をインド標準局(BIS)に登録し、BISの品質基準を遵守せねばならない」と通達、実質的にこの種の製品の輸入を防止する措置をとった。しかしDGFTは最近になって、「鉄鋼省が当該通達の廃止を認めるのを待っている」と述べ、規制を解く姿勢を示していた。ところがここに来て「熱間圧延コイル(HRC)を含む33品目の鋼材の輸入規則は、BISが、これらの品目を品質規制リストから除外しない限り引き続き有効である」との姿勢を示した。
L Mansingh外国貿易総監は、ET紙のインタビューに対し、「DGFTの通達はBISの基準に基づくでものある」と述べ、DGFTの姿勢転換を確認した。それによると、HRCは、国内で用いられる製品に対するBIS強制品質基準下の439品目に含まれており、通達の取り消しにはBISの同意を必要とする。Mansingh外国貿易総監はまた、「一部のHRCユーザーから国産HRCにはそのような品質基準は適応されていないとの訴えがなされたため、BISにその点の確認を求めた」と述べ、さらに「HRCのような建材の主要原料には厳格な品質基準が適応されねばならない」と強調した。
しかしこうしたDGFTの姿勢転換は、鋼材輸入に対する強制義務を廃止すると言う関係省庁間の合意にも反している。BK Tripathy鉄鋼相はこれ以前にET紙に対し、「関係省庁の代表から成る委員会は、鉄鋼省、BIS、歳入局、法務省の関係問題に対する見方を確認した後、昨年12月に、鋼材をBISの品質規制品目から除外するようDGFTに勧告する方針を決めた」と語った。NL Lakhanpal前外国貿易総監も、「鉄鋼省が同意するなら2000年12月の通達を取り消すことに何ら躊躇しない。鉄鋼省が今日方針を決めれば、明日取り消すことができる」と語っていた。
ともあれDGFTの姿勢転換により、実質的なHRCの輸入禁止措置は今後も維持され、これによりEssar、Tisco、SAIL、Ispat Industries、Jindal Vijayanagaram等の国内一次鉄鋼生産者は、国内価格をハイレベルに保つことができる。インド冷間圧延鋼製造業者協会(CRSMAI:Cold Rolled Steel Manufacturers' Association of India)によると、国内におけるトン当たりHRC価格は、国際価格を80米ドル上回っている。国内のトン当たりHRC価格は2002年4月の1万1500ルピーから現在の約1万7500ルピーに40%アップした。しかしこの間にCR価格は20%上昇したにとどまったと言う。