【ニューデリー】今年第1四半期(2002/4-6)の鉄鋼輸出は14%の落ち込みを見たものと見られるが、第2四半期(2002/7-9)には、10~15%の成長が見込まれる。
ビジネス・スタンダードが7月19日、政府筋の言として報じたところによると、欧州連合(EU)と米国が反ダンピング税を課し、これら両地への鉄鋼輸出の収益率が下降する中で、中国や東南アジアが新市場として浮上した。また最近の鉄鋼国際価格の上昇が、欧米市場における損失を埋め合わせる効果を果たしている。第1四半期の輸出データはまだ発表されていないが、4-5月の鉄鋼完成品(finished steel)輸出は40万トンをマークした。しかし半完成品輸出は3万トンにとどまった。EUにより反ダンピング税が課されたとは言え、欧州は依然メイン市場の地位を保っている。価格の上昇が続く中、EUにおける値下げ競争は影を潜めた。
アナリストによると、中国市場への鉄鋼輸出が急増しているが、中国自体が鉄鋼製造能力の強化を図っている現状から、長期的に中国がインド鉄鋼産業の牽引役を務めると期待することはできない。目下年間1億6000万トンの鉄鋼を製造している中国における向こう1年間の鉄鋼設備の伸び率は7-8%で、これに対して鉄鋼消費の伸びは年率5%と見積もられる。輸入により国内生産の不足を補う情況はなお数年続く見通しだが、中国は1、2年後には鉄鋼製品の輸出を拡大するものと予想される。インド鉄鋼業界の対中輸出は直ちに問題に直面することはないものの、中国の鉄鋼製品輸入は2、3年内に大幅に下降するものと予想される。
Steel Authority of India Ltd(SAIL)幹部によると、鉄鋼業界はアフリカ、中東、バングラデシュ等の新市場開拓にも力を入れている。
鉄鋼産業は目下、世界的に復調期を迎えており、国際市場価格は75%の伸びを記録、熱間圧延コイル(HRC)のトン当たり価格は270米ドルに達している。ルピーの対米ドル相場の下降も、インドの輸出競争力強化に貢献していると言う。