2002-06-24 ArtNo.29117
◆ソフトウェア業界、米・豪・日の旅行注意情報に懸念
【ニューデリー】インド政府は、全ての大使/高等弁務官に対し、それぞれの国の主要支持団体(important constituency)に「パキスタン国境における臨戦状況(war-like situation)は、恐らく最早再現しないだろう」との見通しを告げるよう指示した。これは、ソフトウェア業界から、米国/オーストラリア/日本当局が、それぞれの在外機関/産業組織/主要企業に発した緊急旅行通報(hasty travel advisories)が未だ解除されていないことに対する懸念が表明されたため。
インディアン・エクスプレスが6月21日伝えたところによると、具体的に如何なるエスカレーション防止策がパキスタン国境において講じられたかを確認することはできない。このため穏和もしくは第三級の旅行注意情報を発した国々において外交使節らは、ニューデリーから発散された様々な政治的シグナル、例えばパキスタンからのテロリストの浸透が顕著に減少したとの最近のステートメント等を定期的にシェアするよう指示された。これは慎重なアプローチで、実際パキスタンに関して厳しい注意情報が発せられていることから、デリケートなバランスの崩壊を回避することを目指したものと言える。
業界消息筋によると、インド政府の在外使節に対する以上の指示は、ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software Services Companies)理事会幹部がR R Shah情報技術担当次官を通じて政府に行った要請に基づくものである。
NASSCOMのKiran Karnik会頭によると、同協会はソフトウェア業界の幹部とともにShah次官と会見したが、Shah次官は外務省(MEA:ministry of external affairs)のShashank次官にNASSCOMの要望を伝えたものと見られる。NASSCOMは過去2週間Shah次官を初めとする情報技術省幹部と関係問題の協議を重ねて来た。NASSCOMはShah次官に外務省を初めとする関係省庁にも、業界の懸念を伝達するよう要請した。
これまでのところビジネスにさしたる影響は生じていないが、関係国が旅行注意情報を発し続けるならソフトウェア産業のビジネス・パイプラインに悪影響を及ぼす恐れがあると言う。
この点に関して情報技術省筋は、「情況は依然として収集可能だが、ソフトウェア業界から『情報技術(IT)産業の性格上、IT対応サービス領域の短期プロジェクト等は、他の競争力ある地域、例えばフィリピン等に移動するだろう』との懸念が表明されたことから、同省は行動をとる方針を決めた」と語った。
NasscomのSangeeta Gupta副会頭によると、ソフトウェア産業顧客の地政学的問題に対する懸念は明らかに低下したが、顧客は依然として居心地が良いとは思っていない。関係国が旅行注意情報の発信を停止した後に、ビジネスは初めて正常に戻ると言う。
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