SEAnews 2002-03-05 ArtNo.28348

【ムンバイ】今年と来年初に予定されるサッカーとクリケットのワールド・カップに乗じ、インドのカラー・テレビジョン(CTV)メーカーは、新たなブランド・ビルディング活動に取り組んでいる。
インディアン・エクスプレスが3月4日伝えたところによると、Mirc ElectronicsのN Chandra-mouli副社長(ｾｰﾙｽ&ﾏｰｹｯﾃｨﾝｸﾞ)は、「目下市場は年率8％の成長を遂げているが、ワールド・カップの効果で20％台に加速する」と予想するとともに、ローエンド市場におけるディストリビューション網を拡張し、成長の波に乗じる方針を明らかにした。それによるとディーラーの数は現在の2100から2400以上に拡大される。また今年は昨年の32クローを上回る35クロー(US$718万)を広告費に投じる計画という。
Videocon International LtdのVN Dhoot重役(MD)は、「景気の復調を控えた今、消費者の懐には可処分所得の蓄えが存在する」と予想した。同氏によると、今年1月の売上は10％アップし、昨年1月の5％の成長を上回った。同社は昨年ＣＴＶ18万台を販売したが、今年は20万台を目指すと言う。
Sansui LtdのAnil Khera副社長(ｾｰﾙｽ&ﾏｰｹｯﾃｨﾝｸﾞ)によると、同社はワールド・カップ・サッカー・トーナメントのスタートに向け、15インチと21インチの“Flatotron”シリーズＣＴＶを発売、販促活動に拍車をかけている。同社はダイレクト・ディーラー網の構築を販促戦略の中心に据えている。一部の地域における同社のディストリビューターが極めて少ないのは、同戦略に伴うものである。同社は現在全国に直接・間接のディーラー4000を有する。同社は今年末までに700クロー(US$1.44億)の売上を達成、9.5％の市場シェア獲得を目指すと言う。
Samsung India Electronics Ltd(SIEL)のRavinder Zutshi副社長(ｾｰﾙｽ&ﾏｰｹｯﾃｨﾝｸﾞ)によると、ワールド・カップは取り分け西ベンガル州や東北部、及びケララ州の市況を刺激する見通しだ。このため今年下半期の売上は前年同期比20％前後、来年上半期には少なくとも30％の成長が見込まれる。
こうした中で同社はリテール・チャンネルにおけるディスプレーやブランド・エクスペリアンスの補強に努めている。ＳＩＥＬは現在ブランド・ショップ“Samsung Digital Plazas”26店を有するが、今年は5～6店増設する。またキー・ディーラーの店舗を対象にした“Shop-in-Shop”コンセプトの展開やメジャー・ディーラーの店舗に“Samsung Corners”を設けることを計画している。こうしたカウンターやコーナーにはSamsung製の電子レンジや洗濯機が陳列される。
今年ＳＩＥＬは、ＣＴＶ市場では12％、洗濯機とエアコン市場では各15％、電子レンジ市場では25％、霜取り不要冷蔵庫市場では14％のシェア獲得を目指すと言う。
市場調査会社ORG GFK Marketing Services India Ltdの調査主任Rajani Nair女史によると、ワールドカップでＣＴＶの販売は加速される見通しだが、冷蔵庫／洗濯機等の他の家電製品は過去2年マイナス成長を続けており、向こう1年間も顕著な改善は期待できない。しかしワールド・カップの販促パッケージにこれらの製品もバンドルするなら多少の売上の伸びが期待できると言う。