2002-02-28 ArtNo.28306
◆特許法修正案、薬品に関するドーハ宣言を無視
【ニューデリー】新年度予算国会で討議に付される予定の“1999年特許法第二修正案(Patents Second Amendment Bill, 1999)”は、薬品/医薬品に関わる“公共の利益と国家的利益”を規定した特別条項を設けておらず、貿易関連知的所有権(trips:TradeRelated Aspects of Intellectual Property Rights)に関するドーハ宣言(Doha Declaration on TRIPS)を無視した形になっている。
エコノミック・タイムズが2月25日報じたところによると、国会合同委員会(Joint Committee of the Parliament)は2001年12月19日に特許法修正案に対する様々な補足提案を盛り込んだ意見書を提出したが、貿易関連知的所有権に関するドーハ宣言により認められた柔軟性を反映させることに失敗した。インドにおける登記に関しては第29条の条文が追加された。同条文は国家的非常事態(national emergency)や緊急事態(extreme urgency)に際して特許薬品のための強制的なライセンス取得を義務づける権限を政府に付与している。これには戦争、伝染病の流行、テロ、生物/化学的攻撃が含まれるが、喘息/肝炎/心臓病の治療等の重要な保健衛生上のニーズやファミーリー計画等がカバーされていない。
製薬業界等が、特許法修正案の脱文、遺漏を指摘するキャンペーンを展開したにも関わらず、国会合同委員会が何故ドーハ宣言を完全に無視したのかと言う疑問が生じるが、業界観測筋は、TRIPS第27条1項をいわゆる『技術領域におけるのと同様な非差別(non-discrimination as to the fields of technology)』に結びつけ、「一国は、医薬等、如何なる特定の技術領域に対しても特別条項を設けるべきではない」とする解釈上の誤りに由来するものと見ている。
国会合同委員会は医薬に対する如何なる特別条項を設けることも、TRIPSの主旨に反すると解釈した嫌いがあるが、インド薬品製造業者協会(IDMA:Indian Drug Manufacturers' Association)のGajanan Wakankar常務理事(ED)は、「取り分け大衆の健康保護がTRIPSの主旨に沿うものであることを確認したドーハ宣言が発表された後は、医薬品のための特別条項を設けることが可能であり、(国会合同委員会は)こうしたメリットを特許法修正案に盛り込むことに失敗した」と指摘した。
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