【コルカタ】インド最大の民間鉄鋼会社Tata Iron and Steel Company Ltd(TISCO)は、テレコム・ビジネスに続き、今や小売産業におけるプレゼンスの構築を計画している。Tiscoは非鉄鋼事業ポートフォリオに小売ビジネスを加えることにより、向こう10年間年率20%の成長を維持、2011年には年商2万50000クロー(US$52億)を達成する計画だ。
エコノミック・タイムズが12月11日伝えたところによると、TISCOの新任マネージング・ディレクター(MD)、B Muthurman氏は同紙に以上の抱負を語った。それによると、鉄鋼ビジネスの収益は将来縮小する可能性が有るが、非鉄鋼ビジネスの売上は2011年には2500~3000クロー(US$5.2億-6.2億)に達するものと予想される。Muthurman氏は詳細を明らかにしなかったが、Tisco筋によると、同社はWestsideチェーン・ストア等にその資金を注入するものと見られる。かつてTiscoは国際貿易部門を通じ衣料や皮革製品の取引を手掛けた経験を有する。同貿易部門は現在Tata Internationalの傘下に入っている。
Muthuraman氏によれば、鉄鋼産業は本質的に市況変動の影響を受け易く、利益を維持するのが困難である。このためTiscoは今後も引き続き鉄鋼産業に投資すると共に非鉄鋼産業にも目を向けより良好な株主価値の実現を図る。同社が現在注目している非鉄鋼事業には、小売、テレコム、チタニウム、クロム鉄が含まれる。
鉄鋼事業の近代化をほぼ完了し、当面本業にさしたる投資を行う必要のないTISCOは、Tata Telservicesを通じテレコム市場の開拓に本腰を入れている。観測筋はTiscoが3000クロー(US$6.24億)の現金準備を武器に小売市場でも同様に積極な戦略を採用するものと見ている。
Tiscoはこの他、タミールナド州の砂浜からチタニウムを採取する計画を準備する一方、350クロー(US$7284万)を投じて南アフリカにおけるクロム鉄プロジェクトに着手している。チタニウムはスチールやポリマー・ベースの材料に替わる新素材として注目されている。
Muthuraman氏によると、買収合併を通じた鉄鋼部門における事業拡張も依然として経営戦略の中心に据えられており、引き続きこの方面の機会を探って行く。世界最大の鉄鋼メーカーUsinor Groupとは、自動車ボディー外装材の共同開発を進めている。UsinorはTisco子会社Tinplate Company of India Ltdの市場開拓や新製品の開発にも支援を提供する。自動車産業向け冷間圧延製品をTelcoやMahindra & Mahindraに既に納入しているTiscoは、Usinorと手を結び日本や韓国の乗用車メーカーにもその製品を売り込む計画と言う。