【ニューデリー】鉄鋼業界は長期に及んだ不況が底入れし、今年下半期に市況が回復に転じるものと予想している。
ビジネス・スタンダードが9月10日報じたところによると、Tata Iron and Steel Company Ltd(TISCO)のB Muthuraman重役(MD)は、「今年は通年で3~5%の成長が見込める」と予想、Steel Authority of India Ltd (SAIL)幹部は10月には価格が回復に転じるものと見ている。市況復調の触媒を務めたのは雨期で、観測筋は順調な雨期の効果が10月乃至11月に現れるものと予想している。
海綿鉄製造会社Jindal Power & SteelのV K Gujral重役(ED)は、「良好な雨期で農民の消費が拡大、家電製品や自転車の売れ行きが増せば、鋼板の需要が拡大する」と語り、Bhushan Steel & Stripsの幹部は、「家電業界は向こう数カ月の売上見通しを上方修正しており、冷間圧延コイルの需要は既に上向いている」と語った。
しかし、鋼板業界の年間400万トンの過剰設備能力の消化は期待できないようだ。SAIL筋によると、国内の設備能力は1200万トン、これに対してこれまでの国内需要は800万トンだった。仮に国内需要が1000万トンに拡大してもなお200万トンの余剰が存在する。
しかしながら鉄鋼業界にとって幸いしたのは、順調な雨期にとどまらない。世界の少なからぬ中央銀行が金利を引き下げたことから、世界的な鉄鋼需要の拡大も期待できる。そうなれば、鉄鋼価格が回復するだけでなく、輸出の機会も増す。
この他、黄金の四辺形道路プロジェクトや首相が推進する農村道路計画の着工も、条鋼の需要を拡大させる見通しだ。道路ばかりでなく、橋梁や暗渠の建設も加速されており、これらだけで数百万トンの鉄鋼需要が創出される見通しと言う。