【ムンバイ】赤字経営の国営鉄鋼会社Steel Authority of India Ltd(SAIL)が売りに出したカルナタカ州BhardavatiのVisvesvarya Iron and Steel Ltd(VISL)プラントとオリッサ州Rourkelaの年産36万トンの化学肥料工場Rourkela Fertilizer Plant (RkFP)には、買い手が現れず、持分売却計画のアドバイザーを務めるDevelopment Bank of India (Corporate Advisory Services Department)は、入札意向書(EOI:Expression of Interest)の締切期限を当初の4月30日から6月29日に延期した。
インディアン・エクスプレスが5月4日報じたところによれば、SAILは今年3月にVISLとRKFPの74%の権益を売りに出した。VISLは年産20万5000トンの溶銑(hot metal)、同7万7000トンの合金鉄/特殊鋼の製造施設を有する。
Rourkela Steel Plant (RSP)の一部分を成し、RSPの隣接地に設けられているRKFPはカルシウム・アンモニウム硝酸塩、アンモニウム硝酸塩、硝酸塩の製造を手掛けている。
業界観測筋は、「VISLに良好な買値がオファーされる可能性は少ない」と指摘する。それによると昨今この種の大型プラントを買収する財政的ゆとりを有する鉄鋼会社は少ない。VISLは最近500クロー(US$1.07億)を投じて高炉を増設したが、アナリストはこれも浪費と称している。高炉はカルナタカ州におけるハイレベルな電力コストを節約する目的で設けられたものだが、内陸に位置するVISLは合理的価格のコークスを調達することができない。同プラントは合金鉄の製造等、特殊用途にのみ利用可能だが、大量の電力を消費する合金鉄の製造はカルナタカ州には向いていない。またVISLが製造する溶銑のコストはトン当たり少なくとも5600~6000ルピーにのぼり、競争力があるとは言い難い。一方、Bhadravati地区に産する鉄鉱石の鉄分含有率は58%前後と低く、良質な鉄鉱石はBellaryもしくはGoaから取り寄せねばならないが、輸送コストが嵩む。このためアナリストは楽観的に見ても300クロー(US$6424万)以上の値が付くとは思えないと評している。
RKFPについてもアナリストらは、良好な売り値は期待できないとしている。某化学肥料業界筋によると、同プラントの唯一の取り柄は炭坑に近いことと言う。